兵庫県の但馬県民局管内の3土木事務所(豊岡、養父、新温泉)が、除雪作業の効率向上を目指し、障害物などの接近を知らせる「スマート除雪ナビ」を7台の除雪車両に搭載し、本格的に試験運用を始めた。雪のない時期の道路情報や過去の除雪ノウハウなどを専用ソフトに登録し、音声案内を受けながら作業を進める。安全性の向上も見込めるといい、各地の道路で活用されている。(阿部江利)
除雪車両の運転者不足や高齢化などに対応し、若い世代にも安全に除雪作業を担ってもらうのが狙い。雪を残さず除雪するには地面すれすれの作業をする必要があるが、マンホールのふたなどが数ミリ飛び出している場所もあるため、接触して車両が急停止し、運転者が負傷する恐れもあるという。
除雪ナビは昨年度、3土木事務所が導入したが、積雪が少なく出番がなかった。今季は豊岡管内に3台、養父と新温泉管内に2台ずつ配備し、除雪ドーザやロータリー車などに搭載する。
車両には衛星利用測位システム(GPS)が取り付けてあり、運転者が乗車時、運転席横にタブレット端末を設置する。走行中は数メートル先の情報が表示され、マンホールのふたや車止め、ガードレール、橋の連結部分など注意が必要な場所を音や色で知らせる。
今季、ナビを搭載した除雪ドーザ1台を運用する建設業「共栄建設工業」(同県豊岡市日高町国分寺)では、自社の重機を含め5台の除雪機を使い、公道の除雪を担当。土木や建築工事の現場監督や技術者の社員が除雪車両を運転する。
今月中旬の降雪時、ナビ付き車両に男性(36)が助手と搭乗。夜明け前に作業をするため暗くて障害物が見えにくい状況だったが「マンホールやポールの位置をナビが知らせてくれて参考になった」と話す。「自分が除雪した道が『運転しやすかった』と言ってもらえるのがやりがい」と語る。
県豊岡土木事務所の担当者は「冬の但馬に欠かせない除雪の仕事を、次世代を担う方に安全に従事してもらえるように、ナビが役立つかどうか確かめたい」と話している。
