国土交通省豊岡河川国道事務所(兵庫県豊岡市)は、デジタル技術を生かし、建設業の業務や働き方改革につなげる取り組みを進めている。インフラ分野でシステムの標準化などを目指すDX(デジタルトランスフォーメーション)の国のモデル事業に選ばれ、遊水池や北近畿豊岡自動車道の整備で、3次元データを使った設計などを試行。地元業者向けに勉強会を開くなどして、官民一体でデジタル化を広める狙いだ。(阿部江利)
国交省は2016年から、建設業界の生産性向上を目指し、情報技術を生かした工事や作業の導入を建設現場で進めている。他産業よりも若い世代が少なく、労働者が不足する中で、小型無人機ドローンや3次元データなど最先端の技術を取り入れている。
また、設計・施工分野のデジタル化にも取り組んでおり、但馬地域で同分野のモデル事業に選ばれた。現在は円山川の遊水池と、北近畿豊岡自動車道の整備工事で導入効果が検証されている。従来は平面の図面で建造物などの情報をやり取りしてきたが、3次元データを使うと立体で仕様を確認でき、ミスや手間を省けるほか、住民への説明などにも活用できるという。
同省は23年度までに、小規模を除く全ての公共工事で、3次元データを使った設計や施工管理を行う予定にしている。受注する中小業者にも対応が求められるが、まだ利用した業者は少ないという。そこで同事務所は19、20年度、地元業者向けの勉強会を開いている。昨年12月に同県豊岡市内で開かれた勉強会には、地元業者ら約150人が集まり、熱心に説明を聞いた。
同事務所の担当者は「但馬では北近畿豊岡自動車道の工事などで既に3次元データの活用を始めており、事業者も現場への情報技術の導入に積極的」と説明。「少子高齢化などの課題が進む地域だけに、生産性を高める取り組みを定着させていきたい」と意気込む。
