但馬の学校別れの春 5小中校と分校が閉校・休校

2021/03/25 05:30

最後の「さようなら」を終え、校門を出ていく児童たち=奈佐小学校

 兵庫県但馬地域の5小中学校、分校で24日、学校の閉校式や休校式があった。豊岡市では、奈佐小(吉井)が閉校し、五荘小(中陰)と統合されるほか、港東小(気比)と港西小(瀬戸)が閉校し、港東小校舎に「港小」が新設される。香美町では香住第二中(同町香住区無南垣)が閉校し、香住第一中と統合。余部小学校御崎分校(同区余部)が休校する。児童生徒は新たな一歩を踏み出す春に希望を膨らませつつ、学びやとの別れを惜しんだ。(金海隆至、阿部江利、石川 翠) 関連ニュース 豪雨で休校する? しない? 兵庫の自治体が判断に苦慮 警報のタイミング、地域でばらつき 兵庫で記録的大雨、11地点の24時間降水量が5月の観測史上最大に 各地で道路の冠水や陥没、公立校休校に 神戸市立13幼稚園の閉園方針 休園中の4園は24年度末、9園は28年度末に 市教委が修正案


■家族のような安心感だった/香住第二中
 全国教育美術展で文部科学大臣奨励賞など数々の受賞歴を誇る香住第二中。1947(昭和22)年創立で、「絵画の二中」と高く評価された。生徒が減る中、保護者らの強い要望を基に今春、香住第一中と統合。74年の歴史に幕を閉じる。
 閉校式には、卒業式を終えた3年生12人と香住第一中に移る1、2年生14人が出席。代表して3年の釜本沙耶さん(15)が、JR佐津駅で60年以上続いた清掃活動や福祉施設への訪問などに触れ「幼いときからの仲間、先生方も含めて家族のような安心感がある二中が大好きでした」と語った。
 最後に授業で創作した詩「声」を朗読。「当たり前の日常 変わらないみんなの声を聞いて過ごす 当たり前の日々が幸せなのだ」と実感を込め、「その声を忘れずに それぞれの道へ進んでいく」と結んだ。
 中瀬明彦校長(58)は「前向きな姿勢や向上心を忘れることなく、将来の夢や目標に向かってたくましく歩んで」とエールを送った。
■校門で元気にあいさつ「さようなら」/奈佐小
 豊岡市で閉校になった3小学校のうち、奈佐小は1873(明治6)年創立で、全校児童35人。2020年度は1、2年と3、4年が複式学級で学んだ。
 式には児童や教職員、住民ら約90人が出席。児童代表で5年の米原里人君(11)が、運動会や住民にそば打ちを教わる「三世代交流そば打ち大会」などの思い出に触れ、「最後の1年、新型コロナで大切にしてきた行事ができず残念だったが、みんなで楽しく過ごせた。これからもたくましく歩んでいきます」と誓った。
 最後は校門で元気よく「さようなら」とあいさつし、学びやを後にした。
 港西小は、港東小と統合。港東小の校舎を使って「港小」となる。両校はいずれも1873(明治6)年に創立。人口減少が続き、両校とも全校児童が約50人まで減った。
 港西小では、全校児童が校章をプリントしたオリジナルのマスクを着用。峠勝校長が「明治から五つの元号を経て、3054人の卒業生を送り出した。統合しても校訓『仲良く、強く、美しく』の気持ちを持ち続けて」とあいさつした。
 児童代表の5年九谷明生(めい)さん(11)は「私のおじいちゃんもおばあちゃんも港西小で勉強しました。なくなってしまうなんてとても悲しいです」といい、恒例行事の「港かるたウオーク」などを振り返った。最後に5年の鰆太星君(11)が校旗を返還した。

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ