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自宅の精霊棚「おしゃらいさん」に線香を供える清水良一さん=香美町
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自宅の精霊棚「おしゃらいさん」に線香を供える清水良一さん=香美町
清水さん宅の精霊棚「おしゃらいさん」と供え物=香美町
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清水さん宅の精霊棚「おしゃらいさん」と供え物=香美町

 兵庫県香美町香住区の沿岸部の集落では、毎年お盆の行事として、庭などに精霊棚(しょうりょうだな)を飾る風習がある。地元では親しみを込め、「おしゃらいさん」と呼ぶ。古老によると、先祖の霊を迎えて供養するだけでなく、無縁仏を祭る意味合いもあるという。(金海隆至)

 今月15日、同区香住の住宅街。民家の玄関先におしゃらいさんが飾られていた。石の台座に差した約1・5メートルの棒の上に正方形の棚(約30センチ四方)が載せられている。四隅には花を入れた竹筒が立てられ、中央の皿に団子やキュウリ、ナスなどのお供え物。仏の名を記した旗などもある。

 地面から棚へ5段のはしごが掛けられている。「はしごを登って先祖代々の霊にお供え物を食べてもらう。祖父からそう聞きました」と、自宅で休んでいた清水良一さん(95)が話した。

 清水さんの実家はもともと、明治初期創業の旅館「大和屋」を営んでいた。香住村随一の目抜き通りに面しており、薬や日用雑貨、酒、たばこ、食料品なども販売。繁盛したという。

 おしゃらいさんには、有縁無縁の霊魂を招いて接待する意味があるという。「香住は昔から海が近く、旅館の隣には城崎温泉(豊岡市)へ通じる街道もあった。海難事故や行き倒れて亡くなった人の冥福も祈っていたのでは」という。

 兵庫県の但馬海岸地区民俗資料緊急調査報告書(1974年発行)によると、精霊棚は、同区佐津地区以西の沿岸部を中心に、鳥取県までの集落で確認されている。内陸部では同町小代区で認められるだけとも記される。

 香住区では、宗派を超えて多くの寺の檀家(だんか)が精霊棚を飾り、お盆に、僧侶に読経してもらう「棚教(たなぎょう)」をあげる風習を受け継いできた。

 清水さん宅を含め約250軒の檀家がある通玄寺(同区香住)の大崎弘義住職(76)は、おしゃらいさんの呼び名について、死者の霊魂を指す「精霊(しょうりょう/しょうろう)」が、「香住の人の言い癖で変化したものでしょう」と推測する。風習の起源は江戸時代にさかのぼり、なぜ沿岸部に多いかは「よく分からない」と首をひねった。

 少子高齢化や新型コロナウイルス禍の影響で、おしゃらいさんを見掛ける機会が少なくなる中、大崎住職は「先祖への感謝が込められた1年で最も大切な行事を、次代に残さなければ」と強調した。

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