清流のまち養父市にウイスキー蒸留所、来秋完成 シングルモルト月間2万本製造へ

2021/11/12 05:30

ウイスキーの製造を行う「養父蒸留所」の完成イメージ図

 酒類販売や卸売りを手掛けるウィズワン(大阪市)は、兵庫県養父市大屋町中間にウイスキー蒸留所を新設すると発表した。来秋の完成を目指し、シングルモルトなど月間2万本を製造する見込み。県内最高峰の氷ノ山の麓で山並みが美しく、清流が敷地横を流れるなど、ウイスキーづくりに適した自然豊かな立地が決め手となった。早ければ2025年に販売を始める予定で、地域色を打ち出したウイスキーに仕上げることも検討する。(桑名良典) 関連ニュース 六甲山蒸溜所が操業開始 新たなウイスキー文化発信へ 年間1・1万リットル生産へ 「白州12年」3年ぶり再発売 サントリー、数量絞り3月から サントリー、家飲み需要見込む 「高級ウイスキーの販売強化」


 同社は01年設立。ゲーム機販売やカラオケ店の運営などを手掛ける。09年から酒類の取り扱いを始め、販売店を東京都や京都府などで展開している。従業員はアルバイトを含めて130人で、21年3月期の売上高は46億円。
 新しい蒸留所の計画では、敷地面積約8千平方メートル、蒸留棟に樽(たる)貯蔵庫2棟などを併設する。6~10人を雇用する予定。製品の出荷は3年後をめどに始める。欧州や米国、アジア向けの輸出も想定している。生産時に出る麦かすは、但馬牛の餌として、生産農家に提供する予定という。
 同社によると現在、ウイスキーの需要は世界中で伸びており、特に国産品は「ジャパニーズウイスキー」として評価が高く、品薄で、既存メーカー以外の企業などが蒸留所を建設する動きが進んでいるという。同社は現在、原酒を輸入してメーカーに加工を委託する形で、ウイスキー販売を行っている。建設する蒸留所では、新たな濾過(ろか)技術を用いて、短期間の熟成で質の高い製品をつくる。
 地元の養父市は「良好な自然環境や景観で選んでいただいた。ウイスキー蒸留所は新たな文化の発信基地となり、ツーリズムの中に組み込めば、観光拠点にもなる」と期待している。

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