大阪と城崎、湯村温泉をつなぐ高速バスの一部、個室付きに メガネ型端末で動画視聴も

2022/01/19 05:30

個室ではスマートグラスで迫力のある映像を見ることもできる=豊岡市内

 芸術文化観光専門職大学(兵庫県豊岡市)の学生のアイデアから生まれた車外カメラが、全但バス(同県養父市)が実証実験している個室付き新型車両に採用されている。個室では、車外の景色を堪能したり、最新のスマートグラス(メガネ型端末)をかけて動画を視聴したりして移動時間を楽しめるのが特徴だ。(石川 翠) 関連ニュース 【写真】個室が2室整備された車内 引退バスをサウナに改造 降車ボタンは「蒸気降ります」、行き先は「ととのう」 徳島空港と南あわじ結ぶ高速バスが運行開始 首都圏からの来訪に期待


 同大と同社は昨年秋、観光や交通などの地域課題の解決に向けた取り組みと、学生らの実習などで協力する連携協定を結んだ。
 今回のカメラは、学生と若手社員が移動の価値を改めて考えるワークショップを行い、アイデアを募った。バス車両特有の「視点の高さ」に目を付け、車体の前後や上部に車外カメラを4台設置し、さまざまな角度から自然やまちなみなどを見る「バスビュー」を楽しむことができる。
 豊岡市と豊岡演劇祭などで連携してきた通信大手KDDI(au)も加わり、最先端のスマートグラスで映像を視聴できるようにした。軽量のグラスをかけてスマートフォンをつなぐと、レンズを通して100インチの仮想スクリーンを見られる。出石の城下町など豊岡市内のおすすめスポットをまとめた迫力のあるPR動画を準備したほか、スマホ画面がそのまま映し出されるためユーチューブなどの動画も見ることができる。
 実証実験は大阪と、城崎温泉(豊岡市)、湯村温泉(同県新温泉町)をそれぞれつなぐ高速バスの一部で実施。観光庁の「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」の補助金を活用し、新たな取り組みとして試している。バスビューは大阪-城崎線のみ。
 全但バスの桐山徹郎社長は「バス旅行の形態が今後どうなっていくのか分からないが、実証運行を通して需要を見極め、大学との連携もより深めたい」と話している。利用には千円の追加料金が必要。実証実験は2月28日までで、終了後は料金を変更する可能性もある。

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