「鉄子の部屋」14年の歴史に幕 惜しむファン続々と 駅舎改修で3月末で閉館
2022/02/26 05:30
鉄道ファンの思い出が詰まった「鉄子の部屋」の閉館を惜しむ岡田芳明さん=新温泉町浜坂
鉄道関連資料を集めたJR浜坂駅(兵庫県新温泉町浜坂)構内にある鉄道グッズ館「鉄子の部屋」が、駅舎の改修に伴い3月末で閉館する。町が駅前活性化を目的に2008年にオープンして約14年。閉館の知らせを聞いた鉄道ファンや地元住民らが「最後の思い出に」と連日のように訪れている。閉館後、展示品の一部は同駅前のまち歩き案内所「松籟庵(しょうらいあん)」に引き継がれるが、公開の時期は未定という。(末吉佳希)
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「鉄子の部屋」は、同町がJR西日本から駅舎の空きスペースを無償で借り受け、同年4月に開館した。施設名は女性の鉄道ファンの俗称「鉄子」に、女優の黒柳徹子さんが司会を務める人気番組にかけ、名付けられた。耳なじみのよいネーミングで全国に知れ渡り、住民にも愛されてきた。
約45平方メートルの館内には、鉄道ファンやJR、国鉄OBらからの寄贈品を中心に300点以上を展示し、蒸気機関車の雄姿を撮影した写真や鉄道関連の用具、記念切符などが並ぶ。
特に架け替えられた余部鉄橋(香美町香住区)の橋脚の一部や、列車の前方部分に取り付けられていた銘板などは貴重な品として残る。元国鉄職員のスタッフたちが来館者に地域の鉄道の歴史を語り掛けてきた。
県などが進める都市計画道路「浜坂駅港湾線」の整備に伴い、近くにあったJR西日本の乗務員宿泊所が駅舎内に移転するため、同館の閉館が決まった。
孫を連れて来館した地元の60代男性は、数十年前の同駅のにぎわいを記録したモノクロ写真や「濱坂驛(はまさかえき)」と書かれた古いのれんに目をやり「貴重な歴史やみんなの思い出が詰まった大切な施設。なくなることを考えると切ない」としみじみと話した。
同館のスタッフとして約10年活動してきた元国鉄職員の岡田芳明さん(77)は「いろいろな人にいろいろな話をしてきた。最後にひと目でも見にきて」と話している。