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演劇ワークショップでグループごとに演技をする三江小の児童ら(豊岡市提供)
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演劇ワークショップでグループごとに演技をする三江小の児童ら(豊岡市提供)

 兵庫県豊岡市が市立小学校の低学年に実施する演劇の体験授業で、「協働性」「自制心」などにプラスの変化があったことが分かった。同市は、演劇の手法を用いた教育を進めているが、長期間の科学的な検証は初めて。モデル校2校での成果をもとに、本年度から市内全25校で実施する。(石川 翠)

 3月中旬にあった同市役所での会合で、外部の研究チームが検証結果を報告。一定の効果が明らかになった。

 同市は現在、小学高学年と中学、高校で演劇的手法を用いたコミュニケーション教育を行っている。

 今回の小学校低学年向けの「演劇ワークショップ」は、学びに向かう力や姿勢といった、学習の土台になるとされる数値化できない「非認知能力」の向上を図る。貧困対策の一環として始まった事業で、負の連鎖を断ち切るために、所得水準に関係なく、どのような家庭でも子どもたちが学力を身に付けられることを念頭に置いている。

 ワークショップは、モデル校の三江小(同市庄境)と資母小(同市但東町中山)で実施。1~3年生でそれぞれ年3回行った。全国で演劇の体験授業を手掛けるNPO法人「パブリック」(東京都)のわたなべなおこさんが作成し、劇作家の平田オリザさんが監修したプログラムに沿って、平田さん主宰の劇団「青年団」のメンバーが児童のファシリテーター(先導役)を務めた。

 ワークショップで児童たちは、円陣の中で1人ずつ好きな動物になりきって動いたり、グループ別で寸劇を演じたりしながら、自分の思いを表現したり、クラスメートと対話したりしてきた。

 市教育委員会は効果を測るため、青山学院大の苅宿俊文教授(教育学)の研究チームに検証を委託。ワークショップの前後に行った児童アンケートの回答結果を数値化するとともに、教諭や劇団員への聞き取りでワークショップの効果を精査した。

 それによると、児童アンケートでは、友達に自分の考えたことを話すことができる▽嫌なことがあっても友達にイライラしない▽授業で習ったことをうまくできる自信がある-などの項目で特に高い数値を示したという。

 苅宿教授は「問題が起こったときに、自分たちが工夫しないといけないことも経験できた」などと結論。わたなべさんは「自分の意見を言えても、それをすり合わせて方向転換や合意形成ができないグループが、最終的にわずかな時間で自分たちの力でやり遂げた」と、ワークショップでの印象的な場面を披露した。

 高瀬ひかり教諭は「他者を否定せずに折り合いを付ける、相手を見て学び取ろうとする姿勢を見ていて、こうして他者を理解しようとする心が育っていくのだと思った」。小山賢哉教諭は「ファシリテーターの児童への肯定的な声掛けを参考に、自分も具体的に褒めようと心掛けるようになった」と、感想を述べた。

 同市は4月以降、市立の全小学校で実施するが、ファシリテーターが足りないため、当面は1年生に限定する。

 嶋公治教育長は「非認知能力の大事さは誰もが感じていても、実際にどう向上させるか手法が分からなかったが、今回演劇の手法を用いることに効果があることが分かった」と強調。「教員もうまくまとめるだけでなく、上手に失敗や挑戦をさせるなど、日頃の授業のやり方も変わってくるだろう」と期待した。

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