大人たちを驚かせたクオリティー 中学生3人が作った町のPR動画

2022/04/01 05:30

PR動画について話し合う(右から)池上十和子さんと西垣慎治郎さん、大槻陽久さん、岡田正人理事長、佐古善次郎さん=豊岡市但東町中山

 動画編集が好きな近畿大付属豊岡中学校(兵庫県豊岡市戸牧)の3年生3人が、豊岡市但東町をPRする本格的な動画を制作した。ドローン撮影で霧がうっすらとかかる紅葉の山々や、雪で覆われた広大な田畑など美しい大自然を捉え、地元住民のインタビューカットもはさみながら作り上げており、試写会で大人たちを驚かせていた。(石川 翠) 関連ニュース 【写真】動画の一部。豊かな自然と人の生活が伝わってくる 【写真】動画の一部。うっすらとかかる霧の合間から紅葉で色づいた木々が見える チューリップの次はヒマワリ 但東を彩る50万本


 同校3年生は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、毎年東京に行っていた修学旅行を、地元の但馬地域を学ぶ研修旅行に切り替え、昨年11月に同市などの各地を巡った。但東町では農作業などを体験した。
 動画の撮影や編集が好きな池上十和子さん(15)と西垣慎治郎さん(15)、大槻陽久さん(15)が、但東町の自然豊かな景色と交流した人たちの温かさから、「もっと但東町のことを知ってほしい」と自主的に企画した。
 「たんたん温泉福寿の湯」(坂野)の岡田正人理事長(68)らに協力してもらい、期末試験もこなしながら地道に動画づくりを続けてきた。完成した動画は上空から見る雪化粧した山並みから始まり、うっすらとかかる霧の合間から紅葉で色づいた木々が見える景色などが次々と映し出される。雪で一面が真っ白になった田んぼの真ん中を一直線に伸びる道路に車1台が走っていく場面や、満天の星空なども印象的だ。
 地元住民によるインタビューカットでは、「農家民宿 善」(奥藤)の佐古善次郎さん(71)の語りを流しながら、築120年の家屋の細部を切り取り、雰囲気をつくり上げた。細かい説明はせずとも豊かな自然と人の生活が伝わってくる。「日本・モンゴル民族博物館」(中山)や温泉も登場する。
 スローモーションなどのコマごとの速度に変化がつけられ、場面転換も工夫されている。高度150メートル以上の飛行を禁止するなど航空法で定められるドローンの規制も確認。BGMの著作権料も支払うなど、必要な手続きも自分たちで行った。
 3人で唯一、但東町に住む西垣さんは小学生のころから動画編集をしていたといい、「地元にこんなにきれいな景色があることを改めて実感した」と話す。
 池上さんは「『中学生が作成した』と聞いてイメージする動画よりも質の高いものを作れたと思う。海外の友人などにも見てもらっているので但東町に来たいと思ってもらえたら」。大槻さんは「今後も『たんとうチューリップまつり』などの撮影とともに、自分たちで但東町を盛り上げるイベントもしたい」と話していた。
 地元住民向けに催した試写会で、完成した動画を見た岡田理事長は「知ってもらいたい良さが存分に盛り込まれていたのと、構成もすごくてびっくりした」と感心していた。

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