「リラックス提供」だけじゃない 元美容師がヘッドスパ専門店の開業を決意した子どもたちの一言

2022/06/18 05:30

スウェーデン製のリクライニングチェアで出迎える加悦佐也加さん=豊岡市中央町

 兵庫県豊岡市の元美容師の加悦佐也加さん(37)が、水を使わずに頭をマッサージする「ドライヘッドスパ」の専門店「オネム」(同市中央町)をオープンした。リラックス効果や睡眠の質の向上を目指すことに加えて、自身がシングルマザーで苦労した経験から、「将来的には技術を伝え、ひとり親の職業の選択肢を広げたい」としている。(石川 翠) 関連ニュース ヘッドマッサージで「仕事や家事の疲れ癒やして」 障害者やひとり親らに無料で施術 ヘアと音楽どちらも楽しんで 歌手と二刀流のヘアデザイナー、50周年の節目にサロン開設 コロナ社会のおしゃれに、すっきり明るい「マスクヘア」 美容師たちがインスタで発信


 加悦さんは実家が美容院で、自身も美容師として働いていたが、結婚を機に退職。その後離婚し、美容関係の仕事をしたいという気持ちが再燃して復帰したという。
 高校2年と中学3年の子ども2人を育てるシングルマザーで、一時期は毎日、昼夜に仕事を掛け持ちしていた。ある夜、晩ご飯を置いて出て行こうとすると、「貧乏でもいいから普通のお母さんがいい」と子どもたちから言われたという。二人親世帯と変わらない生活を送ってもらいたいとの思いで、仕事を掛け持ちして生活費を稼いでいたが、一緒に時間を過ごせないことに寂しさを募らせていた子どもたちの気持ちを、その時に初めて知った。
 ひとり親の友人たちの状況も似ているという。正社員として採用されても子どもの体調が悪くなって早退していると居づらくなるなど、選択肢が狭まると感じてきた。
 その際に自身も魅了されたドライヘッドスパが頭によぎった。「体のマッサージほど力を使わないため、体力的な負担が少ない。完全予約制にすれば勤務時間も調整できるので、シングルマザーの方も働きやすいのではと思った」
 開店準備を進めながら民間資格を取得しようと、大阪のスクールに通った。合格率が低いという試験に何度か挑戦し、今年1月に資格を取得。県の女性起業家対象の補助金も受け、2月にオープンにこぎつけた。
 60分コース(6600円)などで施術しており現在の客層は40~50代が中心で女性と男性の比率はおよそ6対4。不眠や眠りが浅いなどの悩みを抱えている人が多いという。
 加悦さんは「施術用の椅子さえあれば始められるので、将来的には他のシングルマザーら(の自立支援につながるよう)に養成スクールを開きたい」と話している。
 無料通信アプリLINE(ライン)などで予約する。午前10時~午後9時。不定休。オネムTEL070・8969・0358

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