夜は城崎でパフォーマー、昼は東京の会社とリモートワーク アーティストの新ライフスタイル
2022/06/24 05:30
日中はリモートワークで仕事をする武本拓也さん=城崎国際アートセンター
城崎国際アートセンター(兵庫県豊岡市城崎町湯島)に滞在中のアーティスト、武本拓也さん(31)=東京都=が、日中は会社員としてリモートワークをしながら、夜はパフォーマンスを上演する生活を送っている。新型コロナウイルス禍で遠隔勤務は定着したが、地方のまちで在京の会社員が芸術活動に打ち込むという珍しいライフスタイルを実践する。(石川 翠)
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同センターは、舞台芸術などの作品を仕上げるための滞在型の制作拠点。国内外からアーティストが数週間-数カ月の期間で、入れ代わり立ち代わりやって来る。
武本さんは普段、東京でウェブサービスなどを手掛ける企業に勤務し、金融機関のサイトのアクセス解析などを担っている。「仕事以外で物事をじっくり考える時間をつくりたい」と、2017年から毎日、退社後に自宅近くの公民館で、1時間ほどのパフォーマンスを始めた。
ゆっくりと体を動かしながら、その場にあるものを感じることに重きを置いた静かな上演。演者の動きを目で追っていくと、観客も自然と周囲の音や光などを感じられる。
コロナ禍でリモートワークでの業務が可能になったことで、同センターの滞在制作に応募した。5月中旬から平日はセンター内のスタジオで、週末は市内の寺院や飲食店などでパフォーマンスを披露する。「就職したらやりたいことはできないという風潮もあるが、どちらも本職という意識」と武本さん。「サラリーマンの体を引きずりながら、日常の生活をパフォーマンスに重ねている」と話す。
同センター職員の吉田雄一郎さんは「アルバイトなどで生活しながら助成金を獲得して創作するアーティストが大半な中、会社員の生活と創作活動を両立している新しいケース」と話している。
26日午後3時~4時半は江原河畔劇場(同市日高町日置)で上演がある。観覧無料。同センターに申し込む。城崎国際アートセンターTEL0796・32・3888