厳か但馬の夏 伝統行事3年ぶり復活 浜坂・川下祭りと和田山・寺内ざんざか踊り

2022/07/18 05:30

麒麟獅子舞が各戸を巡る「門付け」で地域の安寧を祈願した=新温泉町浜坂

 兵庫県の新温泉町と朝来市で、夏祭りと伝統芸能が3年ぶりに復活した。いずれも新型コロナウイルスの感染拡大で中止が続き、4年越しの開催に住民と地域が活気づいた。 関連ニュース 【写真】みこし連中が町内を練り歩く「渡御行列」 【写真】太鼓を打ち鳴らしながら「寺内ざんざか」を踊る氏子たち 【別カット写真】上から捉えた「寺内ざんざか」を踊る氏子たち

おはやし軽快、うねる麒麟獅子
 但馬三大祭りの一つ、新温泉町の宇都野神社の例祭「川下祭り」(16~18日)が3年ぶりに開幕した。16日の宵宮には、移動式の舞台「京二屋台」が地区を回り、地元高校生がダンスでもり立てた。17日には麒麟獅子舞の披露や、さまざまなみこしが町内を練り歩く「渡御行列」が地域を盛り上げた。
 京二屋台は江戸時代中期に始まったとされ、戦後に途絶えたが、同町浜坂の「京口2丁目」の住民有志が復活させ、現在は保存会が伝統の継承に努める。
 16日午後6時ごろ、京口2丁目を出発し、「わっしょい、わっしょい」の掛け声に合わせて地元の子どもたちが元気よく引いて回った。JR浜坂駅前商店街など計6カ所では、浜坂高ダンスサークルのメンバー約20人が人気曲に合わせてダンスを披露。沿道は数百人の聴衆でにぎわい、拍手や声援で応えていた。
 同サークル代表の女子生徒(18)は「大役で緊張したけど、伝統の祭りを精いっぱい盛り上げるために全力を出した」と汗を拭った。
 17日は、朝から同神社を渡御行列の一行が出発。榊や神船、鉾、みこしなどが町内を巡った。麒麟獅子は3班に分かれて各戸を訪問。軽快なおはやしに合わせて獅子が首をうねらせるなどして舞を披露したほか、健やかな成長を願って子どもらの頭をかじる場面もあった。(末吉佳希)
猿の衣装着け輪になって舞う
 朝来市和田山町寺内の山王神社や光福寺で17日、五穀豊穣や子孫繁栄などを願って「寺内ざんざか踊り」が奉納された。約400年前に始まったとさる県指定の無形民俗文化財で、地元の保存会(中島徳明会長)が守っている。最近2年は奉納が中止され、神事のみを執り行っていた。
 この日は、山王権現の使いとされる猿を模した衣装の12人の氏子「側踊り」が輪をつくり、「ザンザカザットウ」の囃子などに合わせて太鼓をたたきながら踊った。輪の中心では「中踊り」の2人が舞いながら、竹や紙でつくった長さ4メートルの「竹すだれ」「しない」などの飾りを互いにぶつけたり、地面に打ち付けたりした。
 3年ぶりの奉納とあって入念に練習しようと、期間を例年の約1週間から3週間に延ばし、人数を分けて感染防止に努めたという。
 中島会長は「好天にも恵まれ、会場を変更せず、しっかり神社で奉納できた。感激したし、ほっとした」と笑顔で話していた。(小日向務)

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