海辺の絶景、波音独り占め 古民家宿はまるで親戚の家 居酒屋夫婦が夢叶えオープン 新温泉
2022/08/30 11:30
「いっきゅうさん」じゃなくて「いぐみだよ」と笑い合う中井さん夫婦=新温泉町居組
起き抜けに聞こえる波のさざめきと、窓越しに見渡すエメラルドグリーンの海に、古い漁港のまちなみ。どこか懐かしさを覚える兵庫県新温泉町居組で「海辺の一棟貸切(かしきり)宿『一九三』」がオープンした。自らの手で改装した古民家を活用し、内装にはできるだけ手を加えず、郷愁を感じられるようにした。(末吉佳希)
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「読み方は『いっきゅうさん』じゃなくて、『いぐみ』。ややこしくてすみません」。同町の湯村温泉で居酒屋を営む中井雅則さん(36)が、妻の明子さんと本業の合間に運営を始めた。「穏やかなまちの雰囲気を精いっぱい味わってもらえたら」とアピールする。
同町出身の中井さんは、20代の頃に旅館業に携わった経験があり、「いつか自分の宿を持ちたい」との夢を持っていた。昨年3月ごろ、夫婦で切り盛りする居酒屋「ちどり」が開業5年の節目を迎える前に、長年の計画を実行に移した。
町の空き家バンクで築約50年の2階建ての物件を見付け、半分近くを手作業で改装した。準備費用には、若者の起業を支援する県の補助制度などを活用したという。
1階は約20平方メートルの大部屋で、セルフ方式のキッチンや冷蔵庫を設置し、シャワー室や洗濯機も完備。2階は和室と洋室があり、どちらも大きな窓から「オーシャンビュー」が楽しめる。
畳やふすまなど使える物は極力残され、「田舎の親戚の家に来たみたいな雰囲気にしたくて」と、中井さんは目を細める。今後、隣接する漁具倉庫を改装したバーべーキュー小屋も用意する予定という。
料金は4人までの利用が1万5千円で、1人増えるごとに5千円を追加する。最大定員は8人まで。一九三TEL070・9047・4785