養父の名草神社、鮮やかによみがえる 10年前の大雪で破損、本殿と拝殿の保存修理が完了 23日に記念式典
2022/10/21 05:30
大雪の影響で破損した部分の保存修理工事が終わった名草神社の拝殿(手前)と本殿=養父市八鹿町石原
2012年の大雪で破損した国指定重要文化財、名草神社(兵庫県養父市八鹿町石原)の本殿と拝殿の保存修理工事が完成した。23日には関係者が集い、記念式典が開かれる。また「NAGUSA山の上の芸術祭」と題し、芸術文化観光専門職大学の学生による創作劇「わすれなぐさ」が上演される。(桑名良典)
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名草神社は、妙見山の中腹に当たる標高800メートルに位置し、本殿と拝殿、三重塔の3棟の建造物がある。12年の3メートルを超える積雪で本殿と拝殿の屋根などが破損したため、基礎の工事や屋根の下地まで解体して修理を進めてきた。
総事業費は約7億8千万円で、国や県、同市と奉賛会、寄付金などで賄った。建物の周囲に足場を組んで、手割りの板を重ねる「こけら葺(ぶ)き」という伝統工法が施され、鮮やかな丹(に)塗りの彩色なども復元した。
記念式典は午前10時からで、県指定文化財の「九鹿ざんざか踊り」を奉納。同市出身の浜千代子さんの歌謡ショーと豊岡市出身の田中利奈さんのフルート演奏がある。午後には、芸術文化観光専門職大学の学生による創作劇が特設舞台で上演される。
舞台は、島根・出雲大社から1665(寛文5)年に移築された三重塔の前に特設される。劇は「記憶をなくした女子高生が少年と出会い、出雲大社を目指す」というストーリー。三重塔の軒下の彫刻にある「見ざる」「言わざる」「聞かざる」「思わざる」から連想したサル役も登場するなど、ユニークなキャラクターが物語を盛り上げる。名草神社の歴史や、出雲大社との関わりなどを盛り込んだ。
脚本と演出を手がける2年の永井楓華さんは「地域の歴史や文化など、忘れてはいけないものを感じてほしい。杉に囲まれ、大きなスケールの中で上演できることが楽しみ」と話す。劇作家・演出家で大学助教の田上豊さんは「学生らが、その土地ならではのエピソードを住民らから集め、芸術を通して地域を発信したい」と意欲を見せた。
記念イベントの観覧申し込みは締め切った。問い合わせは市商工観光課TEL079・664・0285