「ふん除去してから体育の授業」シカの悩み、超音波で解決? スピーカー試験導入 新温泉・夢が丘中
2022/10/25 05:30
シカの侵入経路に設置されたスピーカー=新温泉町細田、夢が丘中学校
兵庫県新温泉町の夢が丘中学校(同町細田)に、シカが嫌う超音波を出すスピーカーが試験的に導入された。校庭などに残るふんに悩まされていて、その解決策を町教育委員会が募ったところ、神戸市内の企業が名乗りを上げた。今後4カ月かけて効果が認められれば、同様の被害に見舞われる県内のほかの地域への導入も検討するという。(斎藤 誉)
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新しいスピーカーを開発したのは、電子機器メーカーのイーマキーナ(神戸市灘区)。ネズミが嫌う超音波の発生装置を食品工場に販売しており、周波数をシカが忌避する仕様に改良して12台を同校に設置した。約2週間かけて周辺に散乱するふんの重さを計測し、結果に応じて台数を減らしたり、不定期に明滅する照明を追加したりする。
同校によると、グラウンドには毎朝、シカの足跡とビー玉よりも一回り小さいふんが残り、裏山と敷地の間にある雑草が生えるエリアにもふんが転がる。校舎横の花壇に植えているトマト、ナスなどが食べられるケースもあり、校舎の2階からネットをかけて食害を防いでいるという。
スピーカーの導入は、市町が抱える地域課題を、企業の技術やノウハウで解決する県の「ひょうご・テック・イノベーション・プロジェクト」の一環。毎朝1キロ以上のふんが散乱し、掃除の負担が大きいことから、同校の訴えに応じた町教育委員会が同プロジェクトに応募し、採択された。
同プロジェクトは今年から始まり、県内では三木、朝来、丹波篠山などで実施されている。
田中千尋校長(57)は「体育の授業はふんを除去してから始めるなど、手間と時間がかかってきた。生徒の教育環境を整えることで、職員の負担減にもつながれば」と話した。