丹波

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猪ノ口山頂の黒井城本丸跡。黒井城の異名、「保月城址」の石碑が立つ=丹波市春日町黒井
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猪ノ口山頂の黒井城本丸跡。黒井城の異名、「保月城址」の石碑が立つ=丹波市春日町黒井
雲海の名所としても知られる黒井城跡。初日の出を見るため、今年も大勢の人たちが山頂を訪れた=丹波市春日町黒井(撮影・尾藤央一)
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雲海の名所としても知られる黒井城跡。初日の出を見るため、今年も大勢の人たちが山頂を訪れた=丹波市春日町黒井(撮影・尾藤央一)

 2020年放送のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」で、主人公として描かれる明智光秀。織田信長の命を受け、1575(天正3)年から79(同7)年にかけて「丹波攻め」を成し遂げた。苦戦したとされるのが、兵庫県丹波市春日町黒井で繰り広げられた「黒井城の戦い」だ。幾たびの激闘の末、城主の荻野(赤井)直正が病死した後に落とされた黒井城。だがその城跡を訪ねると、山頂や登山口には「保月城」の表示があった。黒井城と保月城、どっちが正しいの?

 国史跡で、2017年には「続日本100名城」にも選ばれた黒井城跡。同市春日町黒井の猪ノ口山(標高356メートル)にあり、町から山頂付近を見上げれば、木々を切り開いた山城跡が肉眼で確認できる。雲海に包まれた「天空の城」と言えばお隣の朝来市・竹田城跡が有名だが、黒井城跡からも雲海がよく見える。約40分で山頂にたどり着ける手軽さもあり、県内外の観光客に人気だ。

 その登山口には「黒井城跡」に並び、「保月城址」と刻まれた石碑があった。前者は「平成元年」、後者は「昭和32年」に設置されたとある。丹波市が近年発行するパンフレットにも保月城の解説はない。

 「姫路城を白鷺城と呼ぶように、保月城は黒井城の愛称のようなもの」。地元の郷土史家、村上正樹さん(63)が教えてくれた。

 黒井城の初代城主は赤松筑前守貞範。自身の名前から「築」の一文字を取って「保築城」と呼び、「築」が「月」に転じて保月城となったという。

 城の愛称はさまざまだ。長野県の松本城は、黒を基調とした姿から「烏城」と呼ばれる。広島県の広島城は「鯉城」。かつて一帯が「己斐浦」という地名だったことから、「こい」が「鯉」に転じたという。

 猪ノ口山は全体が山城跡で、いたるところに曲輪跡などの遺構が点在。山頂の本丸跡には立派な石垣が残る。本丸跡からは丹波市の風景を一望でき、眼下に田畑のパッチワークが広がっていた。

 朝霧や雲海との競演が有名な黒城城跡だが、村上さんは「満月の夜は月が間近に見えて美しい」と話す。「その光景を見ると、保月城と呼ぶようになった理由が分かる気がします」

 ドラマ放送を1年後に控え、城下に暮らす住民たちは「直正をかっこいいライバルとして描いてほしい」「ロケに来て!」「ドラマをきっかけに地域活性化を」と意気込む。そして歴史的な重要人物の死や重要局面がナレーションで済まされる「ナレ死」だけは防ぎたい、と願っている。(金 慶順)

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