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3月末で定年退職する医師の池田義和さん=兵庫医科大学ささやま医療センター
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3月末で定年退職する医師の池田義和さん=兵庫医科大学ささやま医療センター

 兵庫医科大学ささやま医療センター(兵庫県篠山市黒岡)で24年間、産婦人科医として3千人以上の出産に立ち会った池田義和教授(65)が3月末で定年退職する。22日には市内の保健師や栄養士らに向け、妊娠前の女性が自身の体を知る「プレコンセプション・ケア」について最後の講義を行った。「いつか授かる子どもを守るのは、母親だけでなく地域全体」。優しい口調で、使命感を持って語りかけた。

 池田さんは同県伊丹市出身。1995年、前身の旧国立篠山病院時代に赴任し、ほぼ全ての出産に立ち会ってきた。当初、産婦人科の常勤医は池田さんを含めて2人いたが、2004年から8年間は一人に。官舎に住み、いつでも駆け付けるため車で1時間以上かかる場所には出掛けなかった。

 「続けられたのは地域の人たちの支援があったから」と感謝する。医師不足などのため、同大学が07年に撤退を検討した際は、市民の強い訴えで存続が決まった。産婦人科が守られたことで、母と娘2世代の出産を見たケースもあった。

 定年退職を控え、数百人の母親からのメッセージ、成長した子どもたちの写真が寄せられた。「『いいよ、いいよ』の笑顔に助けられました」「孫が生まれたのは先生のおかげ」。池田さんは2年前、厚生労働大臣表彰を受けるために二十数年ぶりに東京を訪れたが、手紙を手に「そのときよりもうれしい」と笑う。

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 退職を惜しむのは母親たちだけではない。22日夜、丹南健康福祉センター(同市網掛)に、市内で勤務する保健師や栄養士ら約20人が集まり、池田さんの講義に耳を傾けた。呼び掛けたのは、プレコンセプション・ケアの重要性だ。

 妊娠する前に、女性が自身の体の傾向や不調を知ってコントロールする必要がある-と解説。初めて受診した妊婦の心臓に病気が見つかり、「もっと早く知っておけばお産の負担が減ったのに…」と悔やんだ経験からだった。

 「妊娠する前から葉酸を摂取することで神経管閉鎖障害のリスクを減らせる」「風疹の予防には個人だけではなく国全体でのケアが必要」-。安全な出産には自治体や学校での啓発が欠かせないと、専門職員たちに力強く語りかけた。

 講義を終え、「お世話になった篠山に、最後に種をまきました」と一言。今後は「その花が広がるよう見守りたい」という。ただし、「31日の日付が変わるまでは、全ての出産に立ち会いますよ」(金 慶順)

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