丹波

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季節や自然を感じながら音楽に向き合う高木正勝さん=丹波篠山市内(撮影・中西幸大)
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季節や自然を感じながら音楽に向き合う高木正勝さん=丹波篠山市内(撮影・中西幸大)
古民家のスタジオはガラス張りで景色を一望できる=丹波篠山市内(撮影・中西幸大)
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古民家のスタジオはガラス張りで景色を一望できる=丹波篠山市内(撮影・中西幸大)

 「アニメ界のアカデミー賞」と呼ばれる第46回アニー賞(国際アニメ映画協会主催)で、今年の長編インディペンデント作品賞を細田守監督の映画「未来のミライ」が受賞した。4歳男児の成長を描いたファンタジー作で劇中音楽を手掛けているのが兵庫県丹波篠山市在住の音楽家。自然や人との触れ合いから生まれるイメージを音へと昇華させ、細田作品に彩りを加えている。(尾藤央一)

 篠山城跡から車を走らせること約30分。同市内の山に囲まれた小さな村にある古民家がスタジオだ。ガラス張りで景色を一望し、季節や自然を感じながらピアノに向かう。「木々がカサカサと揺れる音。それを聴いた鳥や虫たちが歌う音色も少し変わる…。町から山に来ると、初めは静かだと感じる。でも耳をすませば、町以上ににぎやかなんです」。音楽家の高木正勝さん(39)は、2013年夏に京都府亀岡市から引っ越してきた。

 中学時代に習い始めたピアノで奏でる音楽と、大学時代に熱中した動画を駆使し、数々のコマーシャルや有名アーティストのプロモーションビデオを手掛けている。細田監督からは、12年夏公開のアニメ映画「おおかみこどもの雨と雪」で初めてオファーを受けた。15年夏公開の「バケモノの子」に続き、「未来のミライ」は3作目となる。

 作曲の原点は“音当てゲーム”という。「(ゲームキャラクターの)マリオがジャンプする音やドラクエ(ドラゴンクエスト)のテーマ曲。小学校の時はそれをどうやってピアノで表現するかを楽しんでいた。今もその感覚は変わらない」。友達との会食でもそしゃく音を聞き分けて「今日は野菜少ないね」「柔らかい肉だ」などと音で食べ物を感じる。旅先でも村の草刈りでも、その感性は変わらない。

 1本の映画に必要な音楽は二十数曲。初めての長編映画「おおかみ-」では約3カ月をかけた。「未来のミライ」は2016年の冬から楽曲づくりをスタート。初めは文字だけしかない脚本からイメージを膨らませ、思い浮かんだメロディーを録音し監督に届ける。やがて絵が描かれ、色や動きがつく。曲づくりと同時進行で進むからこそ、実際のイメージと相違も起きる。「監督からは『自分らしい音楽。高木正勝らしさ』を出すよう求められている。時には迷いそうにもなりますよ」と苦笑いする。

 映画音楽をつくる上で「主人公の気持ちになることは意識している。でも音楽に正解はない。だからこそ、完璧だとも思ったことない」。映画が公開され、DVDになる頃にはようやく心のつかえがとれるといい、毎回の反省が次の作品づくりの原動力となる。

 「未来のミライ」は、第91回米アカデミー賞の長編アニメーション賞部門でノミネートされた。受賞は逃したものの、「権威のある賞にノミネートされたことはもちろんうれしい」と高木さん。「映画を通じて新しい出会いもあった。さらにうれしさが加わるのは村の80や90のおばあちゃんにも『良い曲やね』と言われることですね」とほほえんだ。(尾藤央一)

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