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疫病に関する古文書=丹波篠山市西荘
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疫病に関する古文書=丹波篠山市西荘

 「はやり病には、大粒の黒大豆をよくいったもの1合と甘草1匁(もんめ)を水で煎じ出し、その都度飲むのがよい」-。兵庫県丹波篠山市立歴史美術館(同市呉服町)が保管する資料から、疫病流行時の心得を記した古文書が見つかった。黒大豆などで治療薬を作る方法が紹介されており、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、改めて注目を集めそうだ。(綱嶋葉名)

 古文書は、1733(享保(きょうほ)18)年に基礎が作成された「薬法書付」を全国に行き渡らせるため、84(天明4)年に公布されたもの。32(享保17)年の「享保の飢饉(ききん)」や、82(天明2)年の「天明の飢饉」で疫病が流行したため、頒布されたという。

 15年ほど前、丹波篠山市泉の山田家の納屋にあるタンスの中から発見された。同家は古文書の頒布当時、泉や春日江など、7カ村が入っている泉組をまとめていた大庄屋で、出てきた古文書は全1048通。江戸時代初期から明治時代にかけてのものとされ、年貢の割付状など当時の生活が分かる資料が多いという。同家では、そのすべてを旧篠山町に寄贈している。

 疫病流行時の心得を記した古文書はその一部で、農民や庶民でも作ることができる、疫病の予防法や対症療法に関する基本的な処方箋となっている。「新型コロナ対策で何かヒントになることはないか」-。約230年の時を越え、昔の人々の対処法を探ってみると…。

 冒頭の「いった黒大豆と甘草の煎じ汁」に続いて目に留まったのはミョウガだ。「根と葉をたたいて砕き、汁を取って多く飲む」とある。「たたいて砕き、汁を搾って、茶わんの半分ずつ2度に分けて飲む」と紹介されているのはゴボウ。「さらに桑の葉を一握りほど火でよくあぶり、黄色になったら茶わんに水4杯入れ、2杯分になるまで煎じて1度に飲むと汗をかく」そうだ。

 他にも、「高熱が出て苦しむ時はバショウの根をたたきて砕き、汁を搾って飲む」などと、身近な植物を使った薬汁が多い。また飢饉の時に多いとされる食中毒への対処法も記されており、中国医学などから引用したとする記述も見られる。

 「部落史研究会ささやま」代表で、今年3月頃に同美術館で台帳整理していた時、たまたまこの古文書を見つけた今井進さん(71)=同市=は「驚異的な流行病を恐れるのは昔も今も同じ」と話す。「丹波篠山は地産の黒豆とかミソをよく食べてるから疫病には強いかも」と笑いながらも、「古文書の対処法のように、ちゃんと栄養取って自分たちができることをやるしかない」と気を引き締める。

 同会に協力している神戸大学大学院人文学研究科学術研究員の松本充弘さんは「新型コロナウイルスが感染拡大する中、虚偽の情報に基づいた買い占めや偏見などの社会問題が起こっている」とし、「この史料は危機的な状況で私たち一人一人が、情報をどう受容して考えていくべきか語りかけているように思う」と警鐘を鳴らした。

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