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「狂言は敷居が高いといわれるが、その自由さを楽しんで、高い敷居をまたいでほしい」と話す山口耕道さん=丹波篠山市
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「狂言は敷居が高いといわれるが、その自由さを楽しんで、高い敷居をまたいでほしい」と話す山口耕道さん=丹波篠山市

 大蔵流狂言方の山口耕道(本名・啓一)さん(66)=兵庫県丹波篠山市=が、国の文化審議会から重要無形文化財「能楽」の保持者(総合認定)に追加認定するよう、文部科学相に答申された。能楽の技法を高度に体現し、保持者としてふさわしいと評価された。同市では初の保持者となる山口さんは「素直にありがたい。この世界で一定の評価を得られたのはうれしいこと」と顔をほころばせている。(綱嶋葉名)

 能楽は1957年に重要無形文化財に指定され、その保持者として、一般社団法人日本能楽会会員が総合的に認定されている。現在は496人の保持者がおり、今回は同会会員の51人が追加認定される。

 山口さんは同市出身。20代半ばの頃、私設美術館「丹波古陶館」(同市河原町)で働いていたことをきっかけに、春日神社(同市黒岡)の能舞台で披露される「篠山春日能」で初めて能楽を鑑賞した。漫才や落語が好きで、よくテレビで見ていた山口さんだが、「とにかく面白かった。どの笑い芸より狂言が面白い。やってみたいと思った」と一瞬で夢中になった。

 その後、地元の知り合いを誘って能楽グループを結成。大蔵流狂言方の安東伸元さんに出稽古を依頼し、謡(うたい)や狂言を基礎から学んだ。40歳だった94年、「自分なりの狂言を表現したい」とプロの道へ進むことを決意。安東さんの師匠で、後に師事する四世茂山忠三郎さんから「(能楽は)食えへんからやめとき」と止められたが、迷わなかった。

 忘れられないのは、10年以上前にプロとして初めて舞台に上がった「春日能」。能楽に進むきっかけとなった舞台に立てた喜びや、能舞台からの情景を今でも鮮明に覚えているという。

 現在は関西を中心に能楽師として活躍する傍ら、市内の子どもたちに狂言を指導。素直に表現する姿を見るうち、「教えるようになってから、自分も押しつけがましい芸をしなくなった」と子どもたちから影響を受けていると話す。

 さらに、農家としての顔も持つ。米や黒豆を減農薬で育て、「土の匂いや感触が芸に生きている」とほほ笑む。「舞台に立った時のために、極度の日焼けを避けて帽子や日焼け止めクリームで対策してます」と笑いながらも、「『半農半能』で両方続けていく」と決めている。

 「能楽の魅力は自由に楽しめるところ」という。「見る人によって全く違う感想を持てる。それぞれの経験値で見える物も変わってくる」と話し、「農業も同じだが、自分で経験できる年数は限られている。先人の話に耳を傾けながら、常に欲を持って吸収や工夫をしたい」とさらなる高みを目指す。

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