新たな山水画切り開いた中国画家 丹波で李行簡展

2021/02/23 05:30

李行簡さんの作品が展示されている会場=植野記念美術館

 現代中国画家として国際的に活躍している李行簡さんの創作活動を紹介する「李行簡展-新しい中国画への誘い-」(神戸新聞社など後援)が、兵庫県丹波市氷上町西中の植野記念美術館で開かれている。中国各地の風景を豊かな色彩で描いた作品を始めとする約70点が展示されている。3月14日まで。(川村岳也) 関連ニュース 鳩山元首相も出席へ 中国の抗日戦争行事 中国で経済博覧会開幕 北朝鮮商品は出展なし ドラゴンボールの「あれ」、中国で装着!見えたものは… 活気づく製造業は日本市場も照準に、現地取材で浮かび上がった米国の焦り


 李行簡さんは1937年、中国湖北省生まれ。伝統的な山水画の制作に、明暗法や遠近法といった西洋画の技術や日本画の技法などを導入し、新しい山水画の世界を切り開いたとされ、現在は北米で創作活動を続けている。
 同館では今回、所蔵品に加えて、姫路市の李行簡美術館から借りた作品も展示している。多くの作品には、モチーフにした場所も合わせて紹介。「盛秋図」と題された作品は貴州省が取材地とされ、近くの川べりや遠くの山々が紅葉で染まっている様子が、目立つ赤い色合いで描かれている。また、湖北省の峡谷を描いた「大江東去図」は、雲がたなびく峡谷の山々を濃い緑色で表現しており、ひときわ目を引く作品となっている。
 中国だけではなく日本の景色をモチーフにした作品もあり、夜明けの朝日の影響か、白い城壁が淡い桃色に染まった姫路城の風景を描いた絵画なども楽しめる。ほかにも同時期に活躍した中国人作家の作品も合わせて展示し、作風の違いが比較して分かるようになっている。
 学芸員の玉出隼人さんは「李行簡は、新しい中国画を作り上げている代表的な一人。描かれた物語を感じ取ってもらいたい」と話していた。
 月曜休館。午前10時~午後5時(入館午後4時半まで)。一般500円、大学・高校生300円、小・中学生150円。同館TEL0795・82・5945

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