考古学愛好家、故郷で古墳600基確認「近所に古墳があると知って」

2021/06/22 05:30

氷上地域の古墳について調査し、報告書を出版した東昭吾さん=丹波市春日町七日市

 兵庫県丹波市出身の考古学愛好家、東昭吾さん(51)=京都市南区=が、1年をかけて丹波市氷上地域内の古墳を調べ、公的記録に載っていない約600基の古墳を新たに確認した。過去の調査で分かっていた古墳の数の2倍以上にのぼり、市内3カ所目の埴輪(はにわ)片も見つけた。その成果を「兵庫県丹波市古墳分布調査報告書1-氷上町域-」にまとめ、同市に寄贈した。(川村岳也) 関連ニュース 【表】新たに確認した古墳の内訳 住民の指摘、調査要望で発掘したら…古墳2基見つかる HPの測量図を見て気付いた「古墳らしき形状…」 調査で前方後円墳と判明


 東さんは小学校の授業をきっかけに古墳などに興味を持ち、趣味として調べるようになった。成人してからも仕事の合間に調査を続け、これまでに丹波市市島町鴨庄地区の窯跡や、同県豊岡市の古墳分布などについてまとめた著作3冊を自費出版している。
 東さんによると、丹波市内の古墳分布調査は、旧氷上町を除く旧5町で実施。旧氷上町教委は単独で実施せず、同町内の歴史愛好家団体が調べた30年以上前の記録が残されているだけだった。このため、東さんは「いろいろな発見があるかもしれない」と考え、同地域に絞って昨年1月から調査を始めた。
 これまで培ってきた経験を踏まえ、東さんは地図をもとに、古墳が見つかりそうな尾根やなだらかな斜面に目星を付けて調査を続けた。1日に山道を約15キロ歩いたこともあったという。その結果、これまで428基とされていた氷上地域の古墳1050基を確認。同地域で未確認だった前方後円墳とみられる痕跡も見つけた。市内3カ所目となる埴輪片や、約500点の土器片なども発見した。
 報告書は市内の各図書館や、氷上地域の各小学校に寄贈した。市教委文化財課は「未発見の内容も記されていて、よい参考資料になる。今後、公的に調査する上でも役立つ」と話している。
 東さんは「地元の人に、近所に古墳があるんだと知ってほしい。子どもたちにも歴史に興味を持ってもらえたら」と話す。現在は春日町内を調査中。「丹波地域を含め北近畿で、体が動く限り調査したい」と意気込んでいる。
 報告書はA4判、160ページ。古墳分布図付きで1冊2200円。「六一書房」(東京都)のウェブサイトから購入できる。

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