カレンダーの古地図に部落差別の文言 丹波篠山市教委がデータ提供 18年にも市民から批判

2021/10/01 19:45

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 兵庫県丹波篠山市教育委員会は1日までに、市立歴史美術館が提供し、市内の商業団体が制作した2021年カレンダーに使われた古地図に、被差別部落に関する文言が掲載されていたことを明らかにした。カレンダーは約5750部が配布され、一部は回収できていないという。市教委が同日までに、議員全員協議会で報告した。 関連ニュース 「あなたの住民票が取得されました」誰がなぜ? 市役所から突然の通知 ワクチン非接種の人への差別禁止 兵庫・明石市が条例改正へ 市職員が差別的発言 ハンセン病元患者の容姿について

 市教委によると、古地図は明治時代に作成され、江戸時代末期の市内を描いていた。同館は昨年10月、商業団体から「歴史に親しんでもらうため使用したい」との申し出があり、古地図の電子データを提供した。
 同団体がこのデータを元に昨年12月、カレンダー6千部をつくって配布。同月中旬、市民からの指摘で差別を助長する文言があることが分かったという。
 この古地図は同館の所蔵品で、2018年に開かれた企画展でも展示され、市民らから批判を受けていた。市教委はその後、使用する際の注意書きを原本に添付していたが、データにはなかったという。
 市教委はデータの提供に関わった職員2人を処分。丹後政俊教育長は「差別を根絶する立場にある教育委員会であってはならないこと。多くの人に大きな痛みや心労を与え、心からおわび申し上げる」と陳謝した。
 市教委は防止策として、教育機関による調査研究などに限り、閲覧や複写などを許可する▽差別表記などがある資料は、原則として閲覧などを許可しない-などとする規定をまとめた。(川村岳也)

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