丹波アート・クラフトフェス、CFで資金募集 木工や陶芸作家が終結、節目の30年目
2021/10/09 05:30
30年目の「アート・クラフトフェスティバルinたんば」をPRする実行委員長の芥川清さん=丹波市
木工や陶芸、皮革などの作家が全国から集まるイベント「アート・クラフトフェスティバルinたんば」(神戸新聞社後援)がことしで30年目を迎える。県立丹波年輪の里(兵庫県丹波市柏原町田路)を会場に、京阪神などから来場者が詰めかける丹波の秋の風物詩。ただ、新型コロナウイルス流行の影響などで財政的に厳しく、実行委員会は11月6、7日の開催に向け、クラウドファンディングで資金を募っている。(藤森恵一郎)
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広々とした芝生広場や木漏れ日の遊歩道に、約180人の作家が丹精込めた作品を並べるイベント。素材は木工のほか、ガラスや金属、布など多種多様だ。実行委員会メンバーは地元の作家有志ら。現在の委員長は陶芸家の芥川清さん(59)=丹波市=で、2001年から実行委に名を連ねている。ことしは新型コロナ感染拡大防止のため、出展者は137人、飲食ブースは例年の20から11に絞る予定だが、関西屈指のクラフトイベントとして30年の歴史を紡いできた。
産声を上げたのは1992年。丹波年輪の里創立5周年の記念事業で、「クラフトフェスティバルINたんば」として始まった。当時、同里で業務課長をしていた奥田実さん(71)=同市=によると、全国的に有名な「クラフトフェアまつもと」(長野県)などを参考に企画したという。「緑に囲まれた公園で、地域住民が木や土などの作品に親しめる場を目指した」と振り返る。95年に「アートクラフトフェスティバルINたんば」に改称した。
自然豊かな公園で作家たちがゆったりと交流できる場として知名度が上がり、申し込みも徐々に増加。近年は200人以上の応募があり、実行委が選考し、180人ほどに絞っている。画廊の経営者やバイヤーなども訪れ、来場者数は2日間で約2万人(主催者発表)にまでに成長した。
ただ、18年に台風24号の影響で開催を9月から11月に延期したことで経費がかさみ、資金繰りが悪化。さらに、20年は新型コロナの感染拡大で現地開催を中止に。「1年空いてしまい、21年は集客の見込みが立たない状況」(芥川さん)になった。県からは毎年約40万円の補助金が出ているが、財政的に厳しいという。
実行委は「30年という節目に、なんとしても現地で開催したい」と、100万円を目標にクラウドファンディングを開始。10月8日午後6時現在、92万1千円が集まっている。芥川さんは「実行委は少人数で負担も大きいが、たくさんの人に協力してもらい、30年成り立ってきた。感謝の気持ちでいっぱい。来年以降も続けるために踏ん張りたい」と話す。
イベントは6日は午前10時~午後5時、7日は午前9時~午後4時。実行委TEL080・8420・5491
■「自由な雰囲気が好き」出展者にも根強いファン
「アート・クラフトフェスティバルinたんば」は、緑あふれる芝生広場や遊歩道が会場だ。出展者の中には「伸び伸びとして、自由な雰囲気が好き」という根強いファンも多い。
全国各地のクラフトフェアに出展している京都府京丹波町の革職人、正岡佑基さん(43)もその一人。他のイベントでは出展の区画を指定されることが多いが、「芝生広場に自由にスペースを取れるのが魅力」と語る。「毎年来てくれるお客さんも多く、『会いたいな』と思う人がたくさんいる。地元に愛されているイベントだなとも感じる」。
約25年間出展している同県小野市の木工家、田中陽三さん(61)も「自然との一体感がある」と話す。「30年近く前は全国的にもクラフトフェアが少なく、初めて会場に来た時は『こんなイベントがあるのか』と衝撃を受けた」と回想する。
日程が2日間のため、出展場所の裏にテントを立て、キャンプをして寝泊まりする作家も多いといい、「家族ぐるみで食事をし交流を深める。非常にアットホームなイベント」と強調する。(藤森恵一郎)