公園の芝生穴だらけ イノシシ被害が急増 爆竹鳴らし、忌避剤散布…対策も効果なし 丹波篠山
2022/02/13 05:30
掘り返されでこぼこになった芝生。イノシシの仕業とみられる=県立丹波並木道中央公園
兵庫県立丹波並木道中央公園(丹波篠山市西古佐)で今冬、園内の芝生などが広範囲にわたって掘り返される被害が生じ、スタッフが頭を抱えている。主立ったエリアだけでも約2ヘクタールが、でこぼこの穴だらけ。夜間に侵入した、野生イノシシの集団による仕業とみられる。ただ、即効性がある対策がないのが悩みの種。県は年度内に重機などを用い、芝生を修復する予定だ。(堀井正純)
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同園などによると、イノシシは、餌となる地中のミミズや昆虫を狙って掘り起こしているらしい。主な被害エリアはかやぶき民家付近など十数カ所。林道周辺などを含むと約3ヘクタールに及ぶ。2007年のオープン以降、たびたび被害はあったものの、今冬ほど大規模な例はなかったという。
職員が夕方、爆竹を鳴らしたり、芝生へ忌避剤をまいたりしたが効果がなかった。張り巡らされた獣害柵を2日に1度巡回し、イノシシが地面を掘って侵入した経路をふさぐなどしか対処法が見当たらないという。
被害が大きかったのは昨年11、12月。「毎晩、複数の集団がやってきて掘り返していたようだ」とスタッフ。年明け以降、掘り返しは減ったものの、被害が広範囲のため手作業での修復は難しく、惨状がさらされたままだ。同園の梶村徳全所長は「被害が急増した原因は分からない。山の中にもミミズなど餌はあるだろうに」と頭を抱える。
市によると、市内のイノシシの捕獲数に地域によるばらつきが目立ち、城東、多紀地区では激減。一方、同園のある丹南や今田地区では増えており、10~12月にわなを中心に約180頭も捕らえたという。今回の掘り返し被害について市は、「原因ははっきりしないが、豚熱の影響があるのかもしれない」と推測する。
同園は、「丹波の森構想」に基づく広域公園で、70・9ヘクタールの広大な敷地に、芝生広場や棚田、動く恐竜のオブジェ、木工体験などができる森林活動センターが点在。昨年度は約17万人が訪れた。県公園緑地課によると、同園の芝生の修復費として、約300万円を計上している。
■全国各地で被害
イノシシによる掘り返し被害は、国内各地の田畑や墓地、校庭などで確認されている。丹波篠山市によると、過去に市内のゴルフ場でも、一部被害が報告されている。今冬は、広島県尾道市の観光名所「千光寺公園」でも芝生や地面の大規模な被害があった。
掘り起こしは主にミミズ目当てとされるが、イノシシはあまり好んでミミズを食べないとの報告も。餌探しだけが目的でなく、理由がはっきりしない本能的な行動と見る専門家もいる。
一方、イノシシの仲間が、地面を掘り起こす習性が、土壌に蓄積された二酸化炭素の大量放出につながり、温暖化の一因となっているとの海外の研究もある。