36年ぶり「丹波の正倉院」に新住職 晋山式で決意新た
2022/06/02 05:30
晋山式に臨む渡辺正規新住職(中央)=達身寺
「丹波の正倉院」と呼ばれ親しまれる達身寺(兵庫県丹波市氷上町清住)で、渡辺正規(しょうき)さん(46)の住職就任を祝う「晋山(しんざん)式」があった。父親で前住職の健臣(けんしん)さん(80)によると、新住職誕生は36年ぶり。式の前には稚児行列があり、地域住民らが沿道で祝った。
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同寺には平安、鎌倉時代の仏像が約80体現存し、うち12体は国重要文化財に指定されている。明智光秀の「丹波攻め」で寺が焼かれた際は僧侶が仏像を運び出したが、長らく山に放置されたとされる。疫病が流行した1695(元禄8)年、占い師から「仏像を粗末にした罰」と言われ、村人が回収。村人が仏像を安置したお堂に寺が設けられたという。
健臣さんが住職の座を退く「退董(たいとう)式」は昨年行われたが、僧侶や檀家(だんか)らが多数参列する晋山式は新型コロナウイルス禍で1年延期になっていた。
5月29日の「晋山(しんざん)式」は、感染対策のため稚児行列の参加者を地元の12人に絞って行われた。正規さんは「達身寺は文化財が多数あり、守るべき物が多い。地域の皆さんと協力しながら後世につないでいきたい」と決意を新たにしていた。(真鍋 愛)