丹波市有財産公売の住民監査請求 市の手続き不透明性指摘、損害なく請求は棄却 市監査委員
2022/06/21 05:30
2021年6月に公売にかけられた上小倉物品庫(丹波市提供)
丹波市有財産「上小倉物品庫」(兵庫県丹波市柏原町上小倉)公売を巡る住民監査請求で、市監査委員は決定書で「(市の事務)手続きの不透明性が市民に疑念を抱かせ、監査請求につながったことを厳粛に受け止めなければならない」との意見を付けた。監査請求については「市に損害は生じていないと判断できる」などとして、棄却した。決定書は16日付。(真鍋 愛)
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請求人は市内の男女計13人。請求人などによると、市職員が公売前に落札業者と複数回面談したことや、不動産鑑定評価額をそのまま最低売却価格に採用した点などを「入札等の公正を害し、市に損害を与えた」などと主張。市長や市職員への是正勧告、損害の補填(ほてん)などを求めていた。
同委員は、4月22日に請求を受理。関係書類の調査や市職員の事情聴取のほか、請求人の陳述を受け、決定書にまとめた。
それによると、購入希望者との事前協議について「官製談合防止法に触れる内容を協議しているとはいえない」と判断。最低売却価格の設定を巡る経緯については「不動産鑑定士が亡くなったため、鑑定評価額が適正だったかの確証は得られなかった」とした。入札額が最低売却価格(64万円)を上回る100万円だったため「市に損害は生じていないと判断できる」と結論づけた。
その上で意見として、市職員が不動産鑑定評価書の内容を十分に把握しておらず、「市議会での答弁でも説明責任を果たせていない」などと指摘。鑑定評価で建物の評価額が0円となっている点や解体費用が市の概算額とかけ離れている点について、「市民への説明責任を果たすべき」などとした。加えて、市有財産の適正な管理に向けた方針・計画の見直し▽売却事務の取扱規定の明確化-を求めた。
代表請求人の男性(74)は「棄却は納得できない。今後の対応を検討したい」と話している。
【上小倉物品庫公売問題】丹波市が2021年6月、市有財産だった上小倉物品庫(鉄骨造り3階建て、延べ床面積約1032平方メートル)を公売にかけ、市内の建設業者が落札した。その後、市が入札申込開始日から入札日まで、この業者と同物品庫1階一部の賃貸借契約を締結し、公売前には市職員がこの業者と複数回面談していたことなどが発覚。市議会総務文教常任委員会は今年1月、地方自治法に基づく調査(百条調査)権を付与され、入札事務の公平性や最低売却価格の設定方法などを調べている。