家族のぬくもり、農村の日常…表情豊かな人形で昭和を再現 作家・わたべみちこさん作品展 丹波篠山の古民家
2022/10/04 05:30
昭和の暮らしを表現したわたべみちこさんの人形作品が並ぶ古民家=丹波篠山市市野々
昭和の暮らしを精緻な人形で表現する作家、わたべみちこさん(70)=兵庫県たつの市=の作品展が、同県丹波篠山市市野々の古民家「旧村山家」で開かれている。家族のぬくもりや農村ののどかな日常をテーマにした15作品、人形計約100体が並ぶ。黒豆の収穫体験や、かかしの展示といった関連イベントもあり、農村の豊かさを心ゆくまで味わえる。(那谷享平)
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わたべさんは1979年に独学で制作を始めた創作人形作家。主に手芸粘土を材料にしている。子どもの豊かな表情から、長年の農作業に耐えた老人の指先まで、細密な造形が特長。県展の常連だ。
作品展は、地域活性化に取り組む地元住民団体など3組が、新型コロナウイルス禍で中止が続いた「丹波篠山ひなまつり」の代わりに企画。期間は黒豆の旬に合わせた。わたべさんは、2019年に、県の紹介でひなまつりに出品した縁があるという。
会場の市野々は、丹波篠山市のほぼ東端にある人口50人余りの小さな集落。人形は築約130年の古民家の座敷に飾られている。目玉は今年の県展で県民賞に輝いた「花嫁のかどで」。柔和な表情の花嫁を中心にした計20体の作品で、憧れの視線を送る少女や、喜びをかみしめる家族たちの表情は生き生きとしている。
ほかに家族3世代の団らんや農作業などを題材にした作品があり、細部まで作り込んだ食器や野菜などの小道具が目を引く。キャンプ旅行で立ち寄った大阪市の男性(65)は「老人の農作業で汚れた爪や足先の血管がリアル。まるで一人一人の人生の歴史が伝わるよう」と話した。
作品展は10日まで。18歳以上は入場200円。市野々集落内には、住民が作った約50体のかかしを設置し、わたべさん作品や地元野菜などの販売コーナーもある。「市野々かかしの里づくりプロジェクト」の村山紳一代表TEL090・1150・9697。
また市野々を含めた大芋地区で5~16日、黒豆収穫体験を開催。問い合わせは「おくも村」TEL079・558・0014