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クリーンルームでノジギクを培養する生物工学科の生徒たち=加古川市平岡町新在家、兵庫県立農業高
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クリーンルームでノジギクを培養する生物工学科の生徒たち=加古川市平岡町新在家、兵庫県立農業高
県農の看板商品の一つ「カルピー」=加古川市平岡町新在家、兵庫県立農業高
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県農の看板商品の一つ「カルピー」=加古川市平岡町新在家、兵庫県立農業高

 昨年12月中旬、見頃をとうに終えたはずの兵庫県花ノジギクが、県立農業高校(加古川市平岡町新在家)の花壇で、白くかれんな花を咲かせていた。

 「かわいいですよね。長期間、いろんな姿の花を楽しんでもらえるよう、品種開発に力が入ります」と同校生物工学科2年の岡田大地さん(17)。ノジギクは県レッドデータブックで絶滅危惧種に指定。同科の生徒たちは、この希少な花を品種改良し、再び兵庫県中に咲かせようとしている。

 甲子園球場4個分の同校敷地には「農」に関する設備がひしめく。その一角にガラス張りのクリーンルームがある。電子顕微鏡や、細胞の塊を育てるフラスコが並ぶ。この部屋が、品種改良の“最前線”だ。

 ノジギク研究は2013年、生徒の発案で始まった。15年から健康な苗を作る「無病化」に着手。植物の一部を取り出し、無菌状態でクローンを培養して大量増殖させることに成功した。

 この成功により、通常は11月いっぱいという開花時期の延長を実現。さらに、花びらがピンクや黄色に変わる個体も見つけた。今後は、色や形に特徴のある五つの新品種を確立し、それぞれに兵庫旧5国の名を付けるのが目標だ。

 2年の萩原香織さん(17)は「先輩から受け継いだ実験。成功させて、県花をもっと広めたい」と目を輝かせる。同科の今村耕平教諭(53)は「粘り強く試行錯誤を重ねることが大切。何が起こるか分からない農業から学ぶことで、したたかな人間が育つ」と強調する。

     ◇

 創立以来、若い探究心によって培われてきた同校の技術力は、専門家の評価も高い。県加古川農業改良普及センターは「大学の研究や、第一線の専業農家とも並ぶほど」とする。

 発明品の代表格が、乳酸飲料「カルピー」だ。知る人ぞ知るロングセラーで、さっぱりした甘酸っぱさが人気。動物科学科生が搾った生乳を食品科学科生が加工する。ほとんどが生徒の手作業で、品質を保つため、細心の注意を払う。年間約4千本を生産し、大半が毎年11月の「県農祭」で瞬く間に売れる。

 半世紀以上前の1960年、食品科学科の前身の食品加工科に、1期生として入学した菱田克己さん(72)=高砂市松陽1=は「乳酸発酵させ、とろっとした“タネ”を作った。大企業の製品より、ずっとおいしいと思ったもんだよ」と振り返る。同科の元教諭福田喜一さん(87)=加古川市加古川町本町=も「あの頃は、新設学科で、特徴を出さねばと必死だった」と話す。

 24時間、365日、生物が息づく県農。生徒たちは命をもらいながら学び、その学びは、新たな命や地域の恵みに直結していく。(広岡磨璃)

 【兵庫県立農業高校】 農業や動物科学など七つの学科があり、全国有数の規模を誇る県立農業高校。多くの人材を輩出し、地域にとってもなくてはならない存在だ。2017年に創立120周年を迎え、新たな一歩を踏みだす同校。農業の未来を担う、今どきの県農生たちを見つめる。

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