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認知症者の犯罪行為について話す追手門学院大学社会学部の古川隆司准教授=加古川市野口町長砂、リバティかこがわ
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認知症者の犯罪行為について話す追手門学院大学社会学部の古川隆司准教授=加古川市野口町長砂、リバティかこがわ
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 高齢化を背景に、認知症者が逮捕されたり、裁判の被告になったりするケースが増えている。認知症の家族が逮捕された時、あなたはどう動きますか? 家族や地域ができる対処方法を学ぶ研修会が、兵庫県加古川市野口町長砂のリバティかこがわで開かれた。社会福祉士で、高齢者の犯罪を研究する追手門学院大学の古川隆司准教授(社会福祉学)が「当事者や家族が孤立しないよう、地域全体が理解し、負担を分かち合う支援の枠組みをつくっていかなければならない」と指摘した。(津田和納)

 「加古川認知症の人と家族、サポーターの会」が開き、約80人が参加。同会には「デイサービス先の物を持って帰ってくる」「近所の庭を荒らしてしまった」といった家族の悩みが寄せられるという。

 古川准教授によると、認知症による異常行動で、逮捕される事例は年々増えている。行為は、万引や器物損壊から、傷害、交通事故まで多岐にわたる。

 ここ数年、認知症の影響が認められ、不起訴になったり、裁判で無罪になったりするケースが出てきた。だが、認知症の影響は「限定的」とされ、行為の頻度や悪質性で実刑判決を受けることもある。精神鑑定の必要性は、事件ごとに検察官が判断するため、一様ではない。

 ■家族がどう向き合うか

 古川准教授はまず、異常行動や認知症が疑われるようになれば、すぐに医師の診断を受けることを勧める。逮捕された後、通院歴や診断書を示すことで、認知症の影響を受けたことを明確に主張できるからだ。

 逮捕後は家族でも接見できなくなってしまう。強い味方になってくれるのが、無料で利用できる「当番弁護士制度」だ。「医療機関を未受診の場合は、弁護士を通じて診断を促してほしい」と准教授。

 起訴され、裁判に向けた検察庁の取り調べが始まれば、庁内の社会福祉士に相談することも可能だ。准教授は、裁判で施設入所や治療方針など、更生の計画を主張すべきだと強調する。

 ■地域で支える

 自治体レベルで、認知症者の補償制度づくりが進む。神戸市は、認知症高齢者らが事故を起こし、損害賠償を求められた際に給付金を支給する救済制度を検討しており、導入されれば全国で初めてになる。

 だが、制度に頼らず、地域で助け合うことが大切だ。介護経験者やサポーターも増え、潜在的な理解者も増えてきた。古川准教授は「困っているお年寄りを見かけたら、『大丈夫ですか』と積極的に声掛けを。そういう雰囲気づくりから、地域社会が変化していくと信じている」と訴えていた。

 【認知症と犯罪】国の推計では2015年の認知症者数は約525万人で、高齢者に6人に1人の割合。法務省による調査(同年)によると、65歳以上の受刑者数は約20年間で約4・6倍になり、うち認知症の傾向がある人は約17%に上った。事件や事故の裁判を巡っては、医師の診断や精神鑑定により、認知症の影響が認められ、執行猶予や無罪になるケースがある。

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