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4月から山手地域などで運行する「かこバスミニ」=加古川市新神野
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4月から山手地域などで運行する「かこバスミニ」=加古川市新神野
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 JR加古川線神野駅(兵庫県加古川市神野町西条)の南東に広がる山手地域。昨年、周辺で唯一のスーパーが閉店した。

 近くの女性(77)は「車を使えないので、途方に暮れた」と振り返る。自宅から徒歩10分で、生活に欠かせない存在。閉店後は駅近くのスーパーまで通っているが、かかる時間は倍以上の25分に増えた。坂道も多く、「帰りに荷物を持って歩くのがしんどくて」。

 4月、市が主導するコミュニティ交通「かこバスミニ」の運行が始まった。「このバスは私にとっては救世主みたいなもの」。女性は両手に大きな買い物袋を持ち、車に乗り込んだ。

 住民の要望を受けて市などは、民営の路線バスを休止し、地域内を細かく走るかこバスミニに転換することを決断した。ワゴン車を使用し、1日5往復。4月の乗車人数は延べ466人で、市は「期待していた水準をクリアした」と話す。

 ■増える交通弱者

 市全域の高齢化率(65歳以上の割合)は25・9%(昨年4月)だが、北部と中、南部では大きく様相が異なる。JR神戸線周辺よりも南側が20%台前半にとどまるのに対し、北部地域は軒並み30%を超える。

 もともと北部は公共交通の利便性が悪く、マイカーを主な交通手段とする住民が多かった。高齢化が進み、運転できない住民が増えたことで、“南北格差”が深刻な問題として顕在化するようになった。

 山手地域の高岡町内会の村上毅会長(75)によると、周辺は50年ほど前に開発されたニュータウンといい、「初期に住み始めた人たちはもう80代。運転できなくなる人が増え、以前から心配だった」と振り返る。

 市が2017年度に実施した市民意識調査で、施策の満足度を問う50項目のうち、最も満足度が低かったのが「バスの便利さ」。北部に住む多くの高齢者にとって、深刻な悩みであることがうかがえる。25年には、運転が難しくなる75歳以上の割合は北部各地で2割を超えると予測される。

 ■住民が運転手に

 どこでもコミュニティ交通を導入できるわけではない。運行費用は運賃と市からの補助金で成り立っているため、採算性などに基準がある。かこバスミニなら、乗客1人当たり最大600円の補助金で赤字を埋める。この額を上回る想定だと導入は困難だという。

 その壁を地域の力で乗り越えたのが、同市上荘町で運行している「上荘くるりん号」だ。同地域の高齢化率は39・0%と市内で最も高く、何年も前から「買い物難民」が問題だった。だが多くの客は見込めず、採算性の基準を超えられないことは明らかだった。

 そこで地元住民が協議会を設立し、運転を住民ボランティアが担うことに。運転手の人件費が抑えられれば基準をクリアできる。くるりん号は試験期間を経て、15年から本格運行。1日4往復、加古川を渡って高齢者らをスーパーや病院などに運ぶ。

 課題はボランティアの確保だ。協議会代表の荻内晴彦さん(65)は「約35人いるボランティアもほとんどが高齢者。将来も同じ仕組みを維持できるだろうか」と懸念する。(切貫滋巨)

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