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長尾和宏さん
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長尾和宏さん

 人生の終章を自分らしく生き、あるいは締めくくるため、多様な取り組みが広がる。生きているうちの葬儀「生前葬」を開き、家族や友人に感謝を伝えるという考え方がある。昨年7月、還暦に合わせ生前葬を開いた「長尾クリニック」(兵庫県尼崎市)院長、長尾和宏さん(60)に生前葬の意義や、死を見つめて生きる大切さについて聞いた。(聞き手・広岡磨璃)

 -生前葬はどのような内容だったか。

 「患者さんや友人、病院スタッフをホテルに招き、葬儀会館で前撮りした映像を流した。白装束に身を包み、ひつぎに入る様子を皆さんに見てもらい、その後はパーティー。歌を歌って生の喜びを表現した」

 -なぜ生前葬を。

 「50歳のとき以来2回目。むちゃをしてきたので、60歳まで生きてこられたことが奇跡だ、というのが動機の一つ。私は死後に葬式はいらない。今一緒に生きている仲間と飯を食える素晴らしさの方が大切。『死んだときは来なくていいよ』と伝えることもできた」

 「もっと大きな目的は、死を身近に感じてほしいということ。人は全員死ぬのに、寿命が延び、身近で人が死ぬこともなくなったため、誰もが自分だけは死なないと思っている。私が“予行演習”することで、死をタブー視せず、オープンに語り合うきっかけにしてほしかった」

 -どんな印象を持ったか。

 「死を意識する一つの方法が、入棺体験。死に装束を着けて入ると、寂しいし、こんなところに入りたくないなと思う。何回入っても嫌な気持ち。でも100%入ることになるんだから、今日を頑張って生きようという気持ちになれる」

 -生前葬はどのように開けばよいか。

 「難しく考えなくても、ある程度の年齢になったら誕生日パーティーで家族や友人に感謝を伝えたらいい。お世話になっている人にごちそうする会を開くこともできる。必ずしも『生前葬』と銘打つ必要はない」

 -終活についてどう考える。

 「死を見つめて生きるという点では意味はあるが、今の終活は本人で完結しがちなのが問題。終末期や死後のことについて、家族や医師と話し合って一緒に進めることが重要だ。日本尊厳死協会の副理事長としては、50歳を過ぎたら終末期の希望を文書化する『リビングウイル』もぜひ書いてほしい」

【長尾和宏(ながお・かずひろ)】1958年、香川県生まれ。東京医科大卒。大阪大病院などに勤めた後、95年に尼崎市で長尾クリニックを開業。みとりを含めた在宅医療に力を入れる。日本尊厳死協会副理事長。「『平穏死』10の条件」など著書多数。

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