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涼真が手掛けた絵手紙。高齢者施設に届けられる予定という=加古川市八幡町宗佐、加古川学園
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涼真が手掛けた絵手紙。高齢者施設に届けられる予定という=加古川市八幡町宗佐、加古川学園

 罪を犯した少年たちを収容する少年院。その役割は、家族や地域社会の結び付きが薄れる時代背景の中で変わりつつある。自らが犯した罪の重さを理解しながら更生を目指す少年たちと、彼らと向き合い、育て直しに試行錯誤する法務教官らの日々を追った。

 「イッチ、ニー」

 少年院「加古川学園」(兵庫県加古川市)の廊下に法務教官の掛け声が響く。後ろには黒色の手袋と紺色の室内服を着た少年が列を作り行進していく。

 非行や問題性が重く、社会生活が困難な約100人がともに生活する。その半数が、社会性の低い少年を対象にした支援教育課程「N3」で処遇を受ける。

 N3の寮を受け持つ広田潤一(39)=仮名=は大学で児童心理学を学んだ法務教官だ。「こだわりが強い、感情や行動のコントロールが難しいなど、発達障害の傾向がある子がいます」。当初、受け入れは全体の2割の予定だったが、「最近は大幅に増えてますね」

 N3の少年らが絵手紙に取り組む教室をのぞいた。静かな空間の中で、落ち着かない様子の涼真(17)=仮名=が目につく。筆を持ったり、見本帳を何度も開いては閉じたり。広田が「空気が読めず、人の感情が理解できない特性があります」と話した。15分間悩み、机にかじりつくようにして完成させた。作品には、黄色のチューリップ。「春よ、早く来い」とか細い字で添えられている。

 「画力がなさ過ぎました」。授業を終えた涼真が照れ笑いを浮かべながら、取材に応じた。落ち着いた様子で口調は軽い。小学4年の時に両親が離婚。継母との関係が悪く、家出をして補導された。ストレスがたまると、万引と自転車盗を繰り返した。

 「少年院に入ることが決まった時、人生終わったなと思いました。でも、ここに入って、自分の悪いところが少し分かってきた」

 教官とは日記のやり取り、他の少年とは集会を通して生活を振り返る。家族や学校、そして自分自身が目を背けてきた部分が何となく見えてきた。

 「今まですごく自由で気ままだったけど、今は周りを見て、次は何をしようとか考えるようにしてます。人を困らせて、何が悪いんか分からんかったけど、今は謝る理由が分かる」

 なぜ怒るのか、なぜ泣くのか-。人の感情が分からず、不思議だった。今も直感では分からないが、前後関係を考え、状況を論理的に見る訓練をしている。

 「いろいろ考えないといけなくて大変」。小さい頃からの夢もある。「将来は専門学校に行って、車の整備士になりたいです」

 涼真の成長を見守る広田は言う。「訓練の積み重ねで変えられる部分はある。ただ、少年院はきっかけをつかむ場所にすぎない。社会に出てから、どう生きるかが本番です」(敬称略)

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