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稲岡工業文書を調査する市民グループ事務局長の吉田ふみゑさん=加古川市志方町横大路
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稲岡工業文書を調査する市民グループ事務局長の吉田ふみゑさん=加古川市志方町横大路

■稲岡工業株式会社文書保存会・吉田ふみゑさん(67)

 「企業の文書が約170年分、2万6千点も保管された上、倒産によって公開される例はほとんどない。国内や世界の動きが、世相にどう影響したかがよく分かる」

 2012年に倒産した稲岡工業(兵庫県加古川市志方町横大路)が残した文書を、大学の研究者らと一緒に整理する。倉庫に山積みの書類を1冊ずつ撮影し、目録を作る地道な作業。「まるで宝箱のよう。歴史が生き生きと浮かび上がるの」と目を輝かせる。

 稲岡工業は江戸末期の木綿問屋がルーツ。イカリマークのタオル生産で国内外に知られた。会社の倉庫には筆書きの帳簿や、戦後の税制改革をもたらした「シャウプ勧告」を解説する冊子、商業用文芸雑誌など、さまざまな遺産が残された。1903(明治36)年に大阪で開かれた内国勧業博覧会で、経営者がメリーゴーラウンドに試乗した記録もある。「古い文書って難しいイメージがあるけど、案外親しみやすくて面白いのよ」

 歴史については素人。自身の役割を「研究者の仕事が円滑に進み、成果が多くの人の目に触れるよう、支えること」という。

 子どもの頃から読書が大好きで編集にも興味があった。88年から、郷土史愛好家が作る同人誌を編集するようになり、これまでに65号を発行。姫路藩の主要産業だった綿花にも関心を持った。

 2013年、自宅に近い稲岡工業跡に、綿に関する資料などが大量にあると知人から聞いた。一部は加古川市が市史編さんのために調査していたが、新たに2万点以上を発見。すぐに有志約30人と保存会を結成して毎月2回、会社跡に集まって作業するようになった。

 活動は全て無償。「歴史を知っていると人生の楽しさが増す。無料で歴史を学べるのでお得」と笑う。膨大な書類全てを整理するのが夢だ。(本田純一)

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