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河野将英・加古川中央市民病院認知症疾患医療センター長
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河野将英・加古川中央市民病院認知症疾患医療センター長

 兵庫県東播地域で夫婦二人暮らしのかこじぃ(80)は「認知症と診断されるなんて嫌」とこれまで病院を避けてきた。ただの物忘れ? 認知症の始まり? かこばぁ(74)は「気になって夜も寝られない」と、渋るかこじぃと一緒に加古川中央市民病院を訪れ、認知症疾患医療センター長の河野将英医師に聞いてみた。

 河野医師 認知症とは、ある程度成熟した知能が何らかの脳の障害によって低下した状態を言います。例えばアルツハイマー型認知症だと、出来事をすっかり忘れてしまう記憶障害、時間や場所が分からなくなる見当識障害、言葉が出てこない失語などの「中核症状」が出てきます。

 昔は周辺症状と呼ばれた「BPSD」が出ることもあります。「認知症の行動及び心理症状」を意味する英語の略です。幻覚や妄想、怒りっぽい、うつっぽいなど認知症に伴って出てきます。

 最近よく言われるようになったレビー小体型認知症があります。「家に帰ったら誰かがいる」などはっきり見える幻視が特徴です。アルツハイマー型認知症の症状とは異なります。

 かこばぁ 最近は前の日の夕食が思い出せないんです。これって認知症なんでしょうか。

 河野医師 アルツハイマー型認知症はすっぽりと記憶が抜け落ちてしまいます。少し前と同じことを言って「さっきその話したよ」と言われても思い出せない。忘れた自覚があまりない。前日に行ったレストランの名前が出てこなくても行ったこと自体は覚えているなら加齢による物忘れの可能性が高いです。

 かこじぃ 物忘れで不安になったら診断をしてくれるんか?

 河野医師 認知症じゃないと分かって安心するだけでも意味があるかもしれません。市役所や地域包括支援センターに行けば、認知症外来をしている機関のリストがあります。早めに診断されれば、その分進行を遅らせることができます。大きいのは心構え。どうゆう経過をたどってどんな症状が出るかを知識として持っていれば慌てずに済みます。

 かこじぃ 診断されてしまったら治らんのやろう。

 河野医師 今の医学で完治は難しいですね。抗認知症薬はアルツハイマー型認知症の中核症状の進行をゆっくりにする薬です。レビー小体型認知症に効果的な場合もあります。BPSDに対しては漢方薬や安定剤を使います。

 かこばぁ どんなことに気をつけたらいいのかしら。

 河野医師 認知症リスクは、高血圧、高脂血症、糖尿病になると高まります。やっぱり、生活習慣病の予防が大事です。飲酒量を適量にしないとアルコール性の認知症もあります。禁煙も必要です。運動や頭を使うこともいいと言われていますね。

 かこばぁ 認知症と診断されたら不安。どんな風に暮らしていけばいいんやろう。

 河野医師 認知症はいろんなことができなくなっていく過程でもあります。最初に料理などの家事が難しくなり、徐々に身の回りでできないことが増えていきます。できないことは本人も意識するので自信を失いやすい。少しずつ受け入れて、できることを大切にしたいですね。配偶者や家族も「これもできないの」と責めるだけになるとつらい。腹立たしくなるのは自然な感情ですが、認知症の症状を正しく理解して接することが大切。孤立せずに、相談できる環境づくりも重要です。

(まとめ・若林幹夫)

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