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加古川医師会・加古川精神神経科医会会長の森隆志さん
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加古川医師会・加古川精神神経科医会会長の森隆志さん
介護相談室主任の大野なるみさん
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介護相談室主任の大野なるみさん
神戸新聞NEXT
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 高齢になると、退職や配偶者の死、病気などによって、ふさぎ込みがちになる。自分の心の変化に、どのように向き合えばいいのか。加古川医師会・加古川精神神経科医会会長で、東加古川病院院長の森隆志さんに聞いた。また、家族がどのように支えればよいのかを、高齢者施設「せいりょう園」(兵庫県加古川市野口町長砂)の介護相談室主任の大野なるみさんに尋ねた。

■変化受け入れる準備を 加古川医師会・加古川精神神経科医会会長 森隆志さん

 喪失体験はどの世代でも起こるが、高齢になると周りの人の死や体力の低下を経験し、落ち込むことが多くなる。人間は配偶者を思う気持ちや仕事に対する意欲など精神的なエネルギーをいろんなところに分配している。配偶者を失うと向けていた気持ちの持って行き場がなくなり、精神的に混乱する。退職したら同じようにエネルギーを持て余してしまう。

 うつになると悪い細胞を攻撃する免疫機能が低下することが証明されている。落ち込んだままではがんや肺炎になってしまう。使わない体の機能が失われていく「廃用症候群」は脳にもある。思い詰めたままでほかのことを考えなくなると、脳の機能不全を引き起こし、ひどくなると認知障害になる可能性もある。

 喪失体験を乗り切るには、その後をどう生きるかを事前に考えておかないといけない。定年後に釣りをしたいと思っていても、退職するまで釣りをしたことがなければできない。退職前から老後に役立つ技術を身に付けておくことが大事だ。高齢者の健康づくりは現役時代から始まっている。

 人間は1人だけでは生きられない。仲間づくりが必要。サークルや老人クラブで気持ちを保つことも一つの道だ。周囲の人は叱咤するよりも「一緒に何かしよう」と誘うのがいい。「老人力」という言葉がはやったが、年を取れば当然物忘れが多くなる。それは老人としての「力」が付いたからであって気にしなくていいと肯定的に捉えれば落ち込むことはない。

 退職や配偶者の死で落ち込むのも当たり前。落ち込んだ理由を探してどうしようと考えてしまうが、大事なのは考えすぎないこと。寝られないならテレビを見たり、本を読んだりするなど、現状を受け入れることができれば心を穏やかにできる。(まとめ・若林幹夫)

■高齢者の役割を大切に 介護相談室主任 大野なるみさん

 年老いた親が消極的になったり、ふさぎ込んだりしてしまうと、子どもは心配になる。家でぼんやりする両親から、「好きにさせて」「何も困っていない」と言われても、このまま寝込んでしまうのではと不安が募るばかり。「いつまでも元気であってほしい」という願いに沿わない親の姿に、寂しくなるかもしれない。

 年を重ね、耳が遠くなると会話がおっくうになるし、新しいことを始めるのが煩わしくなるものだ。家族は、高齢者の変化を当たり前のことだと受け入れてほしい。

 生きる意欲を持ってもらうことも大切だ。例えば、両親に「孫の結婚式に参加してね」という。そこから生きがいが芽生え、リハビリや体力づくりの背中を押すことにもなる。

 また、働きたい、役に立ちたいという思いを持つ高齢者は多い。「無理をしなくてもいいよ」という気遣いの言葉は、かえって苦痛になる。洗濯物を畳むだけでもいい。体が弱り、何もできなくなったら「そこにいるだけで、うれしいんですよ」という気持ちを伝えたい。

 必ずしも大きな支えが必要なのではない。散歩やお茶会、長電話など、日常のささやかな出来事も、お年寄りの人生を充実させる。

 家族同士の話し合いは欠かせないが、関係が近すぎて本音を伝えられない場合がある。第三者を交え、冷静に話し合える方法を探ってほしい。地域包括支援センターのほか、福祉施設の相談室も利用できる。(まとめ・本田純一)

=おわり=

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