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地域包括ケア病棟の共有スペースで、ゲームを楽しむ患者ら=高砂市民病院
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地域包括ケア病棟の共有スペースで、ゲームを楽しむ患者ら=高砂市民病院

 任期満了に伴う兵庫県高砂市長選の投開票日(4月5日)が迫る。現職の引退表明で12年ぶりに新しいリーダーが選ばれるが、人口減少など取り巻く状況は厳しい。直面する課題と未来への展望を探った。(若林幹夫)

 毎週月曜の昼下がり。高砂市民病院(荒井町紙町)4階の共有スペースに、入院患者が集まる。9日にはつえをつく男性や車いすの女性ら8人が、的を狙ってプラスチック製のボールを投げるゲームに挑んだ。

 「どこ狙う?」「下から投げた方がええで」。会話を交わしながら、的に当たると拍手で盛り上がった。

 4階は手術後などに容体が安定した回復期の患者が入院する「地域包括ケア病棟」。共有スペースの活動は、入院中から日中に動いて日常生活のリズムを取り戻してもらうことを狙う。

 団塊世代が75歳以上となる2025年を見越して16年に48床で開設し、18年には97床に増床。高橋文彦事務局長は「ニーズは絶対に高まる。医療と介護の橋渡しに力を入れる」とする。

 昨年6月には在宅医療を担うため、3人の看護師が交代で24時間対応する訪問看護ステーションも新設。総合病院に併設する強みを生かして治療が難しい患者を担当し、緩和ケア病棟への移行もスムーズに行う。

 退院後を見越した治療から在宅医療、みとりまでを充実させる背景には、慢性的な医師不足とそれに伴う経営悪化がある。

     ◆

 04年度に始まった新医師臨床研修制度で大学病院からの派遣が見込めなくなり、常勤医50人は内科医を中心に減り続け、30人前後の確保がやっと。さらに09年の県立加古川医療センター(加古川市神野町神野)、16年の加古川中央市民病院(同市加古川町本町)と高機能を備えた大規模病院が近隣に開設し、病床稼働率が低迷した。

 その結果、高砂市の一般会計からの繰入金のうち、国が示す基準を超えた追加補てん分は19年度に4億4千万円。08年度以降の累計では54億円近くに達する。

 市が昨年3月に受けた「市民病院のあり方検討委員会」の答申でも、東播磨の医療圏域内で高砂市民病院が果たす役割として、「高度急性期を脱した患者の受け皿」「病床機能の質を高め、断らない面倒見のいい病院」と明記された。

 同病院は答申に沿って日中の救急や紹介患者をできる限り断らないようにし、加古川中央市民病院と連携して回復期の受け入れを増やしている。4月からは急性期病床を減らし、許可病床数全体を200床未満に縮小して診療報酬が有利に算定されるようにした。

 改革を進め、市の一般会計からの繰り入れを減らそうとするが、医師不足は解消されず、高齢化という課題も重なる。常勤医の半数が55歳以上といい、定年後の補充は見通せない。あり方検討委の答申は、現在も医師の応援を受けている加古川中央市民病院との「強固な連携」を必要とした。市は定期的な医師派遣を期待するが、加古川市側との協議はまとまっていない。

 22年にはJR姫路駅東側の再開発エリアに県立はりま姫路総合医療センター(仮称)が開院し、取り巻く状況は厳しさを増す。高砂市は打開を図るため、新たに有識者会議を設け、経営形態まで踏み込んだ検討を依頼しようとしている。

 あり方検討委の副委員長も務めた高砂市医師会の増田章吾会長は「災害医療や市民の健診など公的な医療を守るため、自前の公立病院は高砂にとって必要だ」と強調。その上で病院間の連携を急ぐ重要性を指摘する。「市当局、医師、事務職員全員が一丸となって、市域を超えた協議を進めなければならない」

【私はこう思う】 もっと発信すればいい 検査で高砂市民病院の利用経験がある女性(74)=同市

 車がない高齢者には地元の病院が行きやすいけれど、自分に必要な診療科がなくなると利用しなくなる。回復期の治療に力を入れているのはいい。もっと発信すればいいと思う。緩和ケア病棟もあるし、小規模でもアピールして市民が使いたいと思える病院になってほしい。

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