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松陽高校定時制課程を卒業した隅谷敬子さん=高砂市曽根町
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松陽高校定時制課程を卒業した隅谷敬子さん=高砂市曽根町

 太平洋戦争の影響で進学を諦めざるを得なかった87歳の女性が今春、兵庫県高砂市曽根町の松陽高校定時制課程を卒業した。ほとんど休まずに通い、孫ほどの世代の同級生たちと机を並べた。「毎日元気で過ごせた。健康な体をくれた両親や学校に感謝したい」。学ぶ楽しさを味わい、充実感を胸に卒業証書を受け取った。

 2月28日に卒業式を迎えた加古川市の隅谷敬子さん。高砂市で生まれ、女学校高等科1年生(現在の中学1年生)で終戦を迎えた。父親の方針もあり、卒業後は就職を選んだ。「勉強したかったが、父が『女は学校に行かなくていい』という考え方だった」と振り返る。

 卒業後は釜谷紙業(加古川市)など地元企業に入社。出産、育児で職場を離れた時期もあったが、57歳まで働いた。退職後はいなみ野学園(同市)など高齢者大学に通った。長男から「若い人たちがいる高校が楽しいのでは」と勧められ、2016年4月に松陽高校に入学した。

 同校定時制課程は平日午後5時半から午後9時まで。「ずっと高校に行きたかった」と言い、入学後は一番前の席に座って授業を受けた。趣味の読書のおかげで国語は得意科目。英文和訳やリスニングなど英語は初めて習った。割合や三角関数を学んだ数学は少し苦手だった。

 体育の授業は見学していたが、4年生の運動会では自ら望んで綱引きに参加。同級生たちは、雨の日に「滑らないようにね」などと気遣ってくれ、休み時間の会話を聞くだけでも新鮮だった。「通学の電車が楽しみだった」と話し、充実した思いは古典の授業で詠んだ短歌にも込めた。

 夜になる 心が躍る 定時制 若い子達と かかわり愉し

 4年間通い続けた努力が認められ、全国高校定時制通信制教育振興会から表彰も受けた。担任の重松竜平教諭(32)は「年齢を重ねても努力できる姿を見せてくれた」とたたえた。卒業後は再び通える高齢者大学を探す。隅谷さんは「自分の意思通りに体が動くことはありがたい。元気な限り学びたい」。その意欲はまだまだ衰えない。(若林幹夫)

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