イノシシ捕獲5年で2・6倍 昨年度は過去最多、農作物への被害増加
2021/05/20 05:30
イノシシ対策の侵入防護柵を設置する住民ら=今年2月、加古川市志方町畑
兵庫県加古川市内で、イノシシを狩猟以外で捕まえる「有害捕獲」の頭数が急増している。2020年度は15年度の約2・6倍となる345頭で過去最多に。田畑でイノシシが寝転がったり、踏み荒らしたりするため、農作物への被害も相次いでいる。市は田畑への侵入を防ごうと、21年度は柵の設置にかかる費用の補助を拡充して対策に取り組む。(千葉翔大)
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市農林水産課によると、15年度の有害捕獲頭数は131頭だった。イノシシは主に同市北部の志方町や八幡町などに生息しているとみられるが、最近は南部の尾上町で目撃された事例も。行動範囲の拡大とともに、捕獲頭数も右肩上がりになっているのが現状だ。
担当者は「具体的な生息数は分かっていないが、相当な数がいることは間違いない」。その上で、急増の理由について「山に人が入らず、竹の処理などをしなくなったため、イノシシに居心地の良い環境を与えているのではないか」とみる。アライグマも同様の傾向で、17年度に比べて100頭以上増え、20年度は421頭を捕獲した。
農作物の被害も深刻で、19年度の水稲、果樹などの被害額は計2740万円に上った。市は15年度から国とともに、19年度からは単独で、地元の住民が侵入防護柵を設置する際の資材を提供。21年度は予算を前年度から1千万円近く増やして約2300万円とし、柵の設置に伴う傷害保険加入への費用助成も盛り込んだ。
柵は北部の山裾で既に延長約40キロの設置が完了し、市は22年度までに計約80キロを目指す。担当者は「住民が襲われるような被害を防ぐためにも、引き続き対策に取り組みたい」とする。