必要な子らと「つながってる」6歳と5歳の兄妹、初めての「ヘアドネーション」
2021/08/26 05:30
2人並んでカットに臨む山田陽生君(右)と和花ちゃん=加古川市加古川町北在家
兵庫県加古川市に住む山田陽生(ようせい)君(6)、和花(わか)ちゃん(5)きょうだいがこの夏、そろって腰の近くまで伸ばしていた髪を、ばっさり切った。目的は、けがや病気で髪の毛を失った子どもに、医療用ウィッグ(かつら)を無償提供する「ヘアドネーション」だ。新型コロナウイルス禍で遠出が難しい中、近場のヘアサロンで体験した“真夏の大冒険”。すっきりした2人は、ウィッグを必要とする子らとのつながりを意識した様子で、ともに長さ31センチの髪の束を見つめた。(広岡磨璃)
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陽生君は加古川小学校1年生で、和花ちゃんは保育園の年中児。陽生君は3年ほど前、七五三の写真撮影を目的に髪を伸ばし始めたが、父真吾さん(39)と母奏美(かなみ)さん(35)がヘアドネーションに興味を持った。言い聞かせるうちに本人も前向きになり、「きれいにしとかな」と自分でくしを通してきた。ストリートカルチャーが好きな真吾さんの影響を受けた陽生君の服装や自転車に、ロングヘアがよく似合っていた。
陽生君が伸ばすのを見て、和花ちゃんも「私も(ヘアドネーションを)やりたい」と言いだした。ウエーブのかかった陽生君と、さらさらの和花ちゃんの髪に加え、自身もロングヘアの奏美さんは「お風呂上がりに3人分の髪を乾かすのは大変だった」と笑う。
8月上旬、家族で同市加古川町北在家のヘアサロン「TEADA(ティーダ)」を訪れ、きょうだいが並んで椅子に座った。陽生君は少し緊張した表情で、鏡の自分にじっと見入る。和花ちゃんはうれしそうに、はさみの動きを追った。
2人とも肩の辺りまでに切りそろえ、カットは終了。陽生君は「またやってみたい」、和花ちゃんは「(必要としている子らと)つながってる」と笑みを見せた。奏美さんは「誰かのために行動したことを思い返し、思いやりのある大人になってくれたらいいな」と目を細めた。
ティーダの安大(あんだい)陽平代表によると、同店ではヘアドネーションを希望する客が増えているという。2人の髪は、店からライオンズクラブを通じて専門団体に送られ、子ども向けの医療用ウィッグとして役立てられる。