友人失った衝撃、がれきの山掘り救助… 被災直後の文集を教材に 高砂・鹿島中

2022/01/18 05:30

阪神・淡路大震災の発生直後の映像を見る生徒=鹿島中学校

 阪神・淡路大震災の発生から27年の17日、生徒6人が亡くなった西宮市立浜脇中学校(兵庫県西宮市宮前町)の生徒による被災後約1カ月時点での文章が、同県高砂市阿弥陀町阿弥陀の鹿島中学校で披露された。当時、友人を失った女子生徒が立っていられないぐらいの衝撃を受けたことなどを、鹿島中の生徒会役員が校内放送で読み上げ、「兵庫県に生まれた者として、この出来事は決して忘れてはいけない」と全校生に語り掛けた。(笠原次郎) 関連ニュース 丹波国際映画祭 グランプリに、手話を守る闘い描いた「ヒゲの校長」 谷監督、当事者起用し表現追求 デジタル活用教育を推進、部活動の地域移行へ調整 加古川市教委、第4期ビジョン素案 完成!秘密基地 小学生がデザイン、仕上げ塗装も 鹿島・扇平自然公園 1年限定で


 27年前に浜脇中の3年生だった鹿島中教諭(41)が防災学習のため、浜脇中の全校生徒が書いた文集(B5判、234ページ)の活用を申し出て実現した。
 生徒らは各教室で黙とうし、震災死者を追悼。炎に包まれる街など、被災直後の様子をまとめた約6分半の映像に見入った。
 文集のうち、ある男子生徒は、自宅周辺のがれきの山を「無我夢中で掘った」と振り返り、助け出した人から「命の恩人や」と言われたという。友の死を悼みつつ「この命を大切に生きていきたい」とつづった。
 友人を失った女子生徒は参列した告別式で、亡くなった友人が間もなく生まれる兄の子に会うのを楽しみにしていたと聞き、大きなショックを受けた。震災に立ち向かう大人の姿に刺激を受けて「私もこれから、強く生きようと思った」とし、「私が今できることは、死んでしまった友達を忘れずに、その人達の分までがんばっていくことだと思う」との決意を残した。
 生徒5人の文章の朗読に耳を傾けた2年の男子生徒(13)は「27年前に大変なことが起きたということを、僕たちが次の世代へしっかり伝えていきたい」と話した。
【特集ページ】阪神・淡路大震災

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