ドローンで米の種まき 稲作省力化へ実証実験 導入の可否、数年後に検討 加古川・八幡営農

2022/06/12 05:30

ドローンを水田上に飛ばす共同防除隊のメンバー=加古川市八幡町上西条

 農業の後継者不足や労働力確保が厳しさを増す中、稲作の省力化を図ろうと、小型無人機(ドローン)などを使い水田に米の種をまく「直播(ちょくはん)栽培」の実証実験が、兵庫県加古川市八幡町で進められている。種もみのまき方やコーティング方法を変え、作業効率や生育状況などを確認。数年後に導入の可否を決めるという。(増井哲夫) 関連ニュース 【動画】「スマート農業」 キャベツ収穫量ドローンで計測? 「スマート農業」へ実験 棚田の冷えた水、おいしい新米いち早く 田植え開始、半自動運転のハイテク機も登場


 株式会社「八幡(やはた)営農」(加古川市八幡町船町)が、ドローンで農薬散布を行う合同企業体「共同防除隊」(京都府城陽市)、農業ベンチャー「マイファーム」(京都市)の協力で、初めて実施した。同営農には640戸超の農家が参加し、関連水田面積は約330ヘクタール。
 直播栽培は加古川市八幡町下村、上西条の水田計約560アールで実施。鉄をコーティングして沈みやすくした種もみなど3種類を、ドローンや播種(はしゅ)機(田植え機)で水田にまく。
 5月23日には、八幡町上西条の田んぼ計170アールで、ドローンによる種まきが行われた。まず水田に浮いているわらなどを除去。共同防除隊のメンバーがドローンを操縦し、約2メートル間隔で種もみをまき、その後、除草剤を散布した。作業は2時間ほどで終了した。
 日本の稲作は、育てた苗を植える移植栽培が一般的だが、農業就労人口が減少する中、直播栽培で作業の効率化を図ろうという試みが全国各地に広まっている。農林水産省の報告によると、直播栽培により、労働時間が約2割短縮でき、10アール当たりの生産コストも1割削減できるという。
 同営農は「直播には、収量の少なさやジャンボタニシの被害が増えるといった課題もある。今後、作業効率やコスト、収量などを総合的に検討して、導入できるかどうか、やるとすればどのやり方がふさわしいのかを判断したい」としている。

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