日本画の巨匠・橋本関雪の美を伝える 交流深めた男性の孫、ゆかりの古民家を展示施設に 高砂

2022/07/03 05:30

橋本関雪が手掛けた四曲びょうぶ=高砂市高砂町北本町、和のBu(美)小サロン大西記念館

 神戸出身の日本画の巨匠、橋本関雪(1883~1945年)が残した作品や古美術品を展示する「和のBu(ビュー)(美)小サロン大西記念館」が、兵庫県高砂市高砂町北本町にほぼ完成し、内覧会を開いている。高砂は関雪が青年期を過ごしたゆかりのまち。仲人を務めるなど交流を深めた男性の孫が、関雪が一時滞在していた築350年の古民家を展示施設にリニューアルした。オープンは10月1日の予定。(笠原次郎) 関連ニュース 丹波国際映画祭 グランプリに、手話を守る闘い描いた「ヒゲの校長」 谷監督、当事者起用し表現追求 小中一貫校は吉川高跡に 三木市教委が方針、兵庫県に申し入れへ ルワンダ出身、内戦経験の永遠瑠マリールイズさん「教育は平和と発展の鍵」 明石高で人権学習会


 関雪は神戸の坂本村(現神戸市中央区)生まれ。父海関(かいかん)(1852~1935年)と1899年、経済的な理由で加古川の村にあった尼寺に隠棲(いんせい)した。当時16歳だった関雪は自活を余儀なくされ、高砂の裕福な家を訪ねては絵を描く代わりに食事をさせてもらっていた。
 そのうちの一軒が、1655(明暦元)年創業の老舗商家で町会議員もしていた大西兼次(かねじ)(1877~1916年)方だった。関雪ゆかりの品や古美術品の展示施設は、兼次の孫の文三(ふみぞう)さん(82)=高砂市=が「古き良き高砂を後世の人に伝え残したい」との思いで発案した。
 2019年に準備を始め、木造2階建て(延べ約400平方メートル)にある13室を約1千万円かけて改修。関雪が竜を描いた四曲びょうぶ、ハスを描いた墨絵、兼次に宛てた絵手紙を展示。関雪から贈られた焼き物やすずり、扇子なども並ぶ。
 蔵などに残っていた古美術品の中には、旅人が畳んで携行した「小田原ちょうちん」、刀剣、十手などもあり、これらも展示。パソコン販売会社の会長を務める文三さんが保管する、和文タイプライターや初期のパソコンなど、産業遺産とも言える品々も置く。
 現在は展示品の整理などを進めている。「季節ごとに写真展、絵画展、美術展を開きたい。橋本関雪の作品鑑定会も開けたら」と意気込む文三さん。「長生きの秘訣(ひけつ)は、この施設を一生懸命つくっていることかな」と話す。大西文三さんTEL090・9097・8589

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