ハリマ化成加古川野球部、初の全国切符 創部68年目エース軸に一丸 練習場整備、社員がケージ製作
2022/07/11 14:30
会社が整備した練習場に感謝する野球部の長田隆志監督。バッティングケージは社員の手作りだ=加古川市野口町水足、ハリマ化成加古川製造所
兵庫県加古川市で練習するハリマ化成加古川野球部が、「高松宮賜杯第66回全日本軟式野球大会2部」の近畿ブロック予選を勝ち抜き、本大会(9月10~12日、宮城県石巻市など)への出場切符を手にした。1955年の創部以来、全国大会出場は初めてという。練習場整備など会社の支援や同僚社員の応援を受け、選手らは活躍を誓う。(増井哲夫)
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高松宮賜杯は天皇賜杯に次ぐ大会で、競技人口の多い全日本軟式野球連盟Cクラスのチームが参加する。ハリマ化成は5月29日に兵庫県大会で優勝し、6月26日の近畿ブロック予選でも京都府代表を5-2で破り、代表の座を勝ち取った。
「練習環境を整備してもらい、選手たちのモチベーションもスキルも上がった」。1987年入部で、姫路工業高校野球部出身の長田隆志監督(54)は快進撃の要因を語る。
2019年、会社が加古川製造所北側の敷地約2500平方メートルに練習場を整備し、バッティングマシンも購入。打撃練習用のケージは社員有志が手作りした。「終業後などに集まり、練習に取り組むことができるようになった。コミュニケーション力が高まったのが何より大きい」という。
部員は長田監督を含めて18人。投打の中心は、東洋大姫路高出身でエースの名本塁投手(24)だ。130キロ後半の速球と多彩な変化球が武器で、高速スライダーは「まるで消える魔球のよう」(長田監督)。制球力も抜群で、彼が投げると守備にも攻撃にもリズムが出てくるそうだ。
打線は機動力が持ち味。近畿ブロック予選では同点で迎えた六回裏、四球と内野安打、野選で満塁とし、押し出し四球で勝ち越し。5番吉田圭吾選手(24)の2点二塁打で試合を決め、名本投手が108球の粘投で相手打線を抑えた。
7、8月は県内の大会が続く。9月の全日本大会に向け、「実戦で調整していく」という。仙台市にはハリマ化成の工場があるため、当日は応援の後押しにも期待できる。長田監督は「エース級の投手を3、4人そろえるチームもあり、短期決戦は部員の少ないチームには厳しい。ただ、これまでの支援に応えようと、選手の士気は上がっている」と意欲を見せた。