高砂特産の石材「竜山石」米国へ出発 国内需要低迷でも歴史に脚光、販路開拓の期待大きく

2022/07/17 05:30

木箱に詰められた竜山石が、トラックに載せられた=高砂市阿弥陀町魚橋、松下石材店採石場

 全国唯一という希少性と千数百年続く採石の歴史が評価され、米国の日本庭園に使われることになった兵庫県高砂市特産の高級石材「竜山石(たつやまいし)」が、同市内の採石場から神戸港に運ばれた。石を積んだ船は20日に出港し、米サンフランシスコに向かう。10月、ゴールデンゲートパークにある日本庭園で、五重塔の土台部分に竜山石を張るデモンストレーションイベントが開かれる。(笠原次郎) 関連ニュース 【写真】青、黄、赤と3色ある竜山石 吹上御所の敷石に 皇居へ献上した高級石材 幻の採石風景フィルム発見 皇居や国会議事堂でおなじみ高級石材 高砂産「竜山石」アメリカ進出 クラファンで輸送費、PR資金募る


 竜山石は細工に適した適度な硬さで、古墳時代から石棺に使われ、皇居の敷石や国会議事堂の建材、姫路城の石垣にも使用されている。高砂市内にはかつて採石会社が数十社あったが、需要の低下から現在は3社に減り、後継者がいる社は松下石材店(高砂市米田町米田)だけに。産業としての存続が危ぶまれている。
 そんな竜山石を盛り上げようと考えていた高砂市出身の建築家八木健吾さん(36)=加古川市=は、2016年に米国の日本庭園を視察。その後、全米で庭園を手がける栗栖宝一(くりすほういち)さん(83)=米オレゴン州ポートランド=と知り合ったことで、米国で同石を活用してもらう足がかりができた。今回のイベントもその一環という。
 石は松下石材店が無償で提供した。7月7日に同社採石場(高砂市阿弥陀町魚橋)で、計約13トンを1メートル四方の木箱10箱に詰め、地元運送会社のトラックにクレーンも使って積み込んだ。
 輸送費約350万~400万円は高砂商工会議所を通じ、全国商工会連合会による特産品の販路開拓を支援する補助金を受けて賄う。さらに1カ月後にも石を送る予定。その輸送費には、八木さんらが昨年12月まで実施した、インターネットのクラウドファンディングで集めた約170万円の一部を充てる。
 港を持つ縁で、サンフランシスコ市と大阪市は60年以上姉妹都市だったが、旧日本軍の慰安婦問題を象徴する少女像の設置に反発した大阪市が18年、姉妹都市関係を解消した。八木さんに栗栖さんを紹介し、竜山石の積み込みを見守ったコーディネーターの篠原杏子(きょうこ)さん(43)=米オレゴン州=は「日本と米国がまた仲良くなれるきっかけを竜山石がつくり、再び友好関係が広がっていけば」と話した。

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