東播工高生が旧加古川図書館をレーザー測量 VRや立体造形製作に活用へ
2022/07/24 05:30
レーザースキャナーを使って旧加古川図書館を計測する東播工業高校の生徒=加古川市加古川町木村
東播工業高校(兵庫県加古川市東神吉町神吉)建築科の生徒が、老朽化で存廃が議論されている旧加古川図書館(同市加古川町木村)の建物を、最新鋭のレーザースキャナーで計測した。高密度な点群データ(空間での位置などの情報を持った点を集めたデータ)により、3次元の座標でパソコン画面に建物を再現。データは、VR(仮想現実)への活用や、3Dプリンターでの立体造形物の製作などに生かす。(斉藤正志)
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三脚の上で、箱型のレーザースキャナーがゆっくりと動く。測量を効率的に短時間でできる先端機器で、レーザーを照射し、反射する時間や角度によって1秒間に最大200万点のデータを収集。360度の高密度な点群データで、位置情報を測る。
同校建築科の大歳浩功(ひろのり)教諭(58)が担当する班の3年生8人が5~6月に計5回、旧加古川図書館で活動し、計150カ所からレーザーを当てた。建物の外からだけでなく、市教育委員会の許可を得て内部も計測。アールデコ調のステンドグラスで飾られた正面窓なども記録した。データをパソコンに取り込むと、外壁のタイルなど細部の凹凸まで再現された同館が画面に表示された。
同校は、生徒が最先端の技術を学び、卒業後の仕事に生かすため、2021年度に県などの補助を受けてレーザースキャナーを購入。大歳教諭の班は、課題研究の授業の一環で、同館の計測に取り組んでいる。
同館は1935(昭和10)年に加古川町公会堂として建築。44年には、作家の三島由紀夫が19歳で徴兵検査を受けたとされる。県景観形成重要建造物にも指定されているが、雨漏りがするなど老朽化が進み、市は保存活用か解体かを決めるため、耐震診断を進めている。
生徒(18)は「内部から見たステンドグラスはとてもきれいだった。伝統的な建物なので、後世にデータを残したい」と話す。生徒らは今後、データの活用方法について話し合うという。