64歳主婦、自転車で北海道一周 今夏、1700キロ走破 「自然と涙が」
2022/09/26 05:30
北海道稚内市の野寒布岬を走る森田宮子さん=森田さん提供
兵庫県加古川市の主婦森田宮子さん(64)が今夏、自転車による北海道一周を達成した。10日間で計約1700キロを駆け抜ける過酷な日程と、強烈な風や太陽の日差しにも負けず、ペダルをこぎ続けた森田さん。「大自然の中を自転車で走るのは、感動の連続だった」と振り返る。(千葉翔大)
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森田さんは32歳の時、知人の勧めでマウンテンバイクに乗り始めた。見た目の格好良さと、車両や公共交通機関に頼らず自らの力で進める自転車の魅力にのめり込み、これまで日本縦断(総走行距離約2700キロ)やアメリカ大陸横断(同5千キロ)を達成したという。
これらの体験から、広大な自然が広がる北海道にも憧れるようになった。年齢を踏まえ、森田さんは「今しかない」と北海道一周を決意。約3カ月間、週5日で計約600キロを走る練習を続け、今回の旅に備えた。
函館市は経由せず、直前のニセコ町で苫小牧市に戻る一周ルートを設定した。7月30日早朝に苫小牧市を出発。路面の状況や風向きを考え、海岸線を反時計回りに進んだ。
出発から2日目に到着した釧路町では、最高気温が35度に到達。森田さんは「おやつのソフトクリームが一瞬で溶けた」と苦笑いする。他にも留萌市から石狩市を目指した際には強烈な向かい風が吹きつけるなど、自然の厳しさを味わった。
一方で心が躍る景色にも出合った。襟裳岬や北海道東部の根室市では、早朝の薄暗い空から上がる真っ赤な朝日や、見渡す限り緑色の草原を目の当たりに。森田さんは「なんて素晴らしい景色なんだって、自然と涙が出てきた」。その後も1日100~200キロを走り、夜は民宿に泊まりながら10日後にゴール地点の苫小牧市に到達した。
そんな北海道一周から約2カ月。森田さんは銀輪の旅を思い返し「冷たい雨や向かい風の日もあったが、今では最高の夏の思い出」と充実した表情を浮かべる。年齢を重ね、体力の衰えを感じる時もあるが、「それでも、自分自身が最大限楽しめる生き方を貫きたい」とほほ笑む。
既に次の目標は決まっている。「自転車は私の健康を守ってくれている。来年は(青森県の)下北半島を走りたい」。まだ見たことのない日本の絶景を求め、森田さんはペダルをこぎ続ける。