「野良鳥」町中で相次ぎ発見 野生で生息しないニワトリ、バリケンなど…どこから来たの? 播磨町

2022/10/22 05:30

神戸新聞NEXT

 「大池(兵庫県播磨町古宮2)に、何日か前からアヒルなどがいます」。9月下旬、読者から神戸新聞東播支社にそんなメールが届いた。添付写真にはアヒルのほか、体が白くて顔が赤い鳥や、茶色い鳥が写っていた。播磨町に問い合わせると、池で飼育している鳥ではなさそうで、さらに同池周辺ではニワトリ19羽(死骸3羽含む)も見つかったという。住宅地に突然現れた「野良(のら)鳥」たち。どこから来たのだろう?(門田晋一) 関連ニュース 【写真】弱っているバリケン 「ワラビーだ」「ハイエナかも」集落に現れた謎の動物、その正体は…人やペットに危険!触らないで 【写真】大池で泳ぐアヒルとガチョウ


■誰かが飼っていた?
 同町によると7月下旬、「大池に見たことがない鳥がいる」と住民から連絡があった。職員が確認すると、神戸新聞に届いた写真と同じ鳥たちだった。
 写真を姫路市立動物園に確認してもらったところ、写っているのはアヒルやガチョウで、顔が赤い鳥はカモ科のバリケンだという。バリケンは食用で、肝臓はフォアグラの材料としても用いられる鳥だ。同園の担当者は、これらはいずれも家畜の鳥「家禽(かきん)」だとし、「通常野生では生息していないので、誰かが飼っていた可能性が高い」と指摘する。
 ニワトリがいるとの情報が同町に入ったのは、7月6日。町職員が大池周辺にある県立播磨南高校(同町古宮4)近くの田んぼに急行し、3羽を捕まえた。町の施設で保護して様子を見ていると、その後も8月下旬から9月下旬にかけて8回、大池周辺の路上や商業施設の敷地内で計16羽のニワトリを発見。いずれもやせ細り、羽毛が抜け落ちて肌が見えるものもいたという。最終的には全て死んでしまった。
 町担当者によると、アヒルとバリケンは羽が切られている可能性があるという。「弱ったものの処理に困り、誰かが捨てたのではないか」と推測する。
■行くあてもなく  
 ニワトリやアヒルを飼う場合、県家畜保健衛生所への届け出が必要だが、同町内で届け出ている人はいない。隣接する明石市にも、廃業した養鶏場などがあるか確認したが、該当はなかった。地元住民は、近隣の動物園に、大池にいる鳥たちの保護を求めたが、病気を持つ可能性があるため断られたという。
 「グァ、グァ、グァ」。10月中旬の夕方、大池の様子を見に行くと、アヒルが甲高い声で鳴きながら、ガチョウと一緒に泳いでいた。食べ物と思ったのか、護岸の枯れ草に引っかかったビニールをついばんだ。バリケンの姿は見えなかった。池を囲む柵には、町が鳥や生き物を放たないよう呼びかける張り紙が。そこにはこう記されていた。「生き物は最後まで飼い主が責任を持って飼いましょう」
 町担当者は「新たに鳥を見つけたとの情報は寄せられていないが、対応は検討していく」と話した。

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