夏は蒸し風呂状態、熱中症も…高砂市野球場の手動式スコアボードを電光掲示板に 求める署名1万人分

2022/10/27 17:35

市民らが電光掲示板化を求めている手書きのスコアボード=2015年、高砂市野球場

 全国高校野球兵庫大会の会場の一つ、高砂市野球場(兵庫県高砂市米田町島)の手動式スコアボードを電光化しようと、有志が「高砂市野球場の改修を支援する会」を結成し、30日まで署名活動を続けている。ボードの視認性を高め、夏場は蒸し風呂状態となる室内で作業する野球部員らの負担を減らすのが目的。東播ゆかりの野球関係者も参加し、すでに1万人分以上集まった。同市議会に提出した上で、所有する高砂市に改修を求める。(笠原次郎) 関連ニュース “甲子園トリビア”スコアボード「凸」は立体商標 球場の中心で愛を誓う 野球選手が「本拠地」で挙式 ライバルチームの選手がサプライズプレゼントも 社高校の号泣マネジャー、SNSで感動呼ぶ 甲子園出場決め「感情が爆発」


 同球場は1972年に開場。整備は市の委託を受け、阪神甲子園球場を管理する阪神園芸が担っており、グラウンドの土や芝生の状態にも定評がある。全国高校野球兵庫大会の主要9会場の一つだが、手動式ボードは同球場のみという。
 ボードが連なる建屋は幅が50メートル以上あるが、奥行きは1・8メートルしかない。黒っぽい色で塗装されているため熱を吸収しやすく、真夏は室温が30度台後半まで上昇する。高校野球の試合では、野球部員5人以上が狭い室内で汗だくになって作業に追われる。
 播磨南高など5校で39年間、野球部監督などを務めた礒野仁志さん(65)=加古川市=が2021年7月、「これ以上生徒たちを危険な目に遭わせられない」と立ち上がった。電光掲示板化への賛同者を集め、22年7月末、同会が発足。礒野さんが事務局長となった。
 会長には、高砂市立鹿島中の軟式野球部監督として全国を制覇したが、06年にがんのため46歳で亡くなった中上雅文さんの妻、友子さん(62)=高砂市=が就任。礒野さんが知り合いなどに参加を呼びかけ、高砂、加古川市などの52人が会員となり、8月1日から署名活動を始めた。
 神港学園高(神戸市)と流通科学大(同)で監督を務め、高砂市に30年以上住んでいた北原光広さん(69)=加古川市=も会員の一人。教え子らのネットワークを駆使し、約5600人分の署名を集めた。北原さんは「高砂の球場に、何度も試合でお世話になった恩返しをしたかった。ボードを交換する野球部員が熱中症にならないよう、大勢の野球関係者に頼んだ」と話す。
 高砂市の過去の試算では、電光掲示板化には約1億2千万円かかるという。署名は10月21日時点で、1万1182人分が集まった。中上会長は「会員の協力で、たくさんの署名が集まっている。東播の野球熱を再び盛り上げるためにも、電光掲示板化をぜひ実現させたい」と語った。

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