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 2014年に発売され、大森立嗣監督により映画化された本作。この度新たに加筆され、新装版として発売された。これが、あまりに良くて、どうしよう。どうやったら伝えられるか、考えている。

 母親の癌告知、闘病、葬儀。本書はこれまでもたくさんの人が通ってきたであろう、大切な人との別れを描いたコミックエッセーだ。漫画の題材としても、それは決して珍しくはないだろうけど(たまたま入った書店でも「お母さんが死んだ漫画コーナー」みたいなところに平積みされていた……それは、どうなの……)、引き込まれるのは、なんだろう。ユーモアと正直さ、だけじゃないな。作者を突き動かしてきた切実さが、最初から最後までブレずに、根底に流れているからではないだろうか。

 油性マジックへの信頼が厚く、家電のボタンが押しやすいように、扇風機などにマジックで「オン、オフ、強、弱」など大きく書き込む母。メールを送る際、最大字数で送信することに必死のあまり、絵文字も文章もめちゃくちゃな母。著者であり主人公のサトシが大病をした時、「あんたもワテが産んだ傑作やでねぇ、なんも心配しとらんよ」、そう豪快に笑っていた母。

 現在と過去を行ったり来たりしながら、少しずつ物語は進んでいく。少しずつ気持ちに整理がつき始め、母に背中を押されるように、一歩を踏み出した時、サトシのもとにある贈り物が届いた。親心は死してもなお、なのか。その優しい結末に、温かい気持ちになって本を閉じた。多分ずっと、手元に置いておく本になりそうです。

(新潮社 1000円+税)=アリー・マントワネット

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